とびきり、優しい闇2


どのくらいの時間が経ったのか、オレは何かの気配で目を覚ました。

外を見れば、まだ嵐が吹き荒れていて、夜明けの気配はない。


「……?」


自分を目を覚まさせたものが何か、最初分からなくてキョロキョロとあたりを見渡した。

枯草のベッドの上では、寝る前と同じ様チナが丸くなっている。 



でも…?


なんだがチナの身体が震えてるような気がする。

オレはそっと立ち上がり、チナの傍へ寄った。


「…チナ?」


戸惑いがちに声を掛けると…


「……っ」


ビクンッと身体を跳ねさせて、チナが顔を上げた。

チナは驚いた、というよりはまるで怯えたような顔でオレを見上げる。


また心臓がドクンといった。



「ねず、み…」


そうオレを呼ぶ声はすごく頼りなくて、おまけになんだか頬が色づいて瞳も潤んでる。

オレのドクンドクンが加速する。


「え…チ、チナ、どうしたの…?」


「…なんか、身体が変、だ…」


「変って何が…」


「熱い…」


熱い?もしかして雨に打たれたから風邪引いちゃったかな?

オレはチナの額に手を伸ばした。

本当は触れるのは躊躇われたけど、そうも言っていられない。


「……っ」


触れた瞬間、またチナの身体が跳ねる。

同時にオレの心臓も跳ねた。



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