とびきり、優しい闇3


(……落ち着け、オレ)



チナの額は、別に熱くは感じなかった。イーブイとライチュウの体温が同じなのかは知らないけど、少なくても高熱ということはなさそうだ。

だからと言って安心していられない。

具合が悪いなら、ちゃんと相応の対処をしなきゃ。


「熱いって、どんな風に?」


額から手を離し、訊ねる。


「…なんか、身体の奥が熱くて、ムズムズする…」


「……」


なんだか身に覚えのある感覚に、何も言えずチナを凝視した。


「胸がドクドクいって、苦しい…」


……それって……。


「でも、大丈夫だ。こうして寝てればきっと治る…」


そう言ってチナは、またベッドの上で丸くなった。


オレの心臓は、また煩いくらいに鳴り出す。



(落ち着け、オレ)


(って、ムリだって!!!)



「…チナ、それ治んないよ。多分…」


オレの言葉に、チナが不安げに顔を上げる。


「…ひどい病気なのか?」


「病気でも、ない…」


「……?」


不思議そうにオレを見るチナの顔は、やっぱり仄かに赤らんでいて…



「それ、発情期なんだと、思う。多分…」


そう、今のオレと同じ状態。


「発情期…?」


チナは驚いた様子もなく、暫く何か考えた様子で、


「…じゃ、子供作んなきゃ、なんないのか…?」


どこか焦点の合っていない目でそう言った。



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