こころ、安定を失くす3


チナがびっくりした顔でオレを見る。

その顔が、見る見る歪んでいって…。



「あ、あの…、チナ…?」


チナは眉を寄せて頬を膨らませ、今にも泣き出しそうな顔で言った。


「…お前、オレのこと、嫌いなんだろ」



(…は?)


思ってもいなかった言葉。


ていうか、え?

何それ…。


嫌いって…、そんな訳ないじゃん。


(むしろその真逆なんですけど)



「そんなことないよ!!なんで!?」


冗談じゃない。
チナに嫌われたらどうしようって思ってたのはオレの方なのに、チナがオレに嫌われてると誤解してるなんて、そんなのは嫌だ。


「だって…、この間、思いっきりバスケットぶつけちまったし…。最近全然会おうとしないだろ。今だって…」


「それは…」


チナに発情してて、顔を見るとうっかり襲っちゃいそうだから、とは言えない。


「それは…、その、か、身体の調子がちょっと悪かったんだよ。それで…」


苦しい言い訳をする。だがチナは、ぱっと顔を上げて、


「本当か?大丈夫なのか?」


今度は心配そうに問い返す。少し胸が痛んだ。


「う、うん。もう大丈夫」


「そうか」


安心したように微笑むチナに、どきりとして、またオレは焦り出す。


「う、うん。だから、「じゃあ、もう寝よう」


さっさと洞窟を出て行こうとしていたオレに、チナが無邪気に言う。



あ、あの、だから…


(まずいんですけど…)



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