友達じゃなくて、好き2


「なななななな、なに!?」


振り向くと、そこに仲間の雌のピカチュウがいた。


「何って、だからこっちが聞いてるのよ。さっきから、溜息ついたりにやけたり…。一体どうしたの?」


「な、な、なんでもないよ〜…」



(ずっと見られていたのか…。不覚…)


オレは焦って作り笑いしながら応えた。


「そう?そう言えば、最近はこっそり抜け出さないのね」


あらら…。そこまでバレてたのか…。


「う、うん。森の中、探検してたんだ。でもちょっとあきちゃって…」


苦しい言い訳をする。雌のピカチュウはそれ以上問い詰めてこなかったが、


「探検もいいけど、気を付けてね。人間の罠も増えてきたみたいだし」


と、一言残して去って行った。




「…はぁ…」


オレはまた、溜息を付く。
自分の身体が今、どういう状況なのかは分かっている。




だけど、なんで、同族じゃないわけ?

歳の近い女の子なら、沢山いる。

現にさっきのピカチュウだってそうだ。

に、しても。

同族の女の子のこと見ても、考えても、全然そういう気にならないのはどういうわけ?

なのに、チナのこと考えると…

ほら、また胸がどきどきずきずきしてきた…。

これってかなり変だよ…、オレ…。

変だけど…。





「チナ…」

ぐるぐる考えながら、思わずその名を呟いた。



会いたい。

会いたいけど…。




「はぁ……」

オレはまた、盛大に溜息をついた。



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