5


「うそつきっ!」


僕はそう叫んで頭を思い切り左右に振った。
ばたんばたんと足を動かし、押さえつけられた手も必死で動かした。
だってそんなの信じられない。


「うそ、うそ!あんなの愛じゃない愛じゃない!もしあの行為が愛を示すのならどうして僕はあんなに苦しかったの、何度も無理矢理突っ込まれて、くわえさせられて、殴られて、詰られて、一気にたくさん相手させられて、僕が嫌だって泣いてもやめてって喚いても僕のことなんて気にも止めなかったのに僕は辛くて苦しくて悲しいだけだったのにどうして、どうしてあれが愛を示す行為だなんて言えるの、うそ、うそだうそだうそだっ!!!」

「ライムっ…」

「みんな僕がいらないから、どうでもいいから酷いことするんだっ!だからお母さんだって僕を捨てたんだっ、必要ないからいらないからみんなみんな、ザクロだって、僕をいらないって思ってー…っ」


そこまで吐き出した言葉は、突然ぶつかる様に重なったザクロの唇にせき止められてしまった。
呆然とする僕にもう一度、柔らかい口付け。

ふわりと、体から力が抜けるのが分かった。
だってこれは僕が一番好きだった、ザクロとの口付けだから。

昨日のように舌を入れられることもない心地よく軽いそれを黙って受け入れる。
僕が大人しくなったからだろう。
暫くの口付けの後、ザクロはゆっくりと唇を離し僕の首筋に顔を埋めた。


「…ざく、ろ」

「…どうしたら、分かってくれる…っ」

「え…」


苦しそうな彼の声と、じんわりと濡れる僕の首筋、それから布団。
ザクロが全体重をかけるように僕にのし掛かっているというのに、なんだかその重みが酷く心地よかった。



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