もしもしきこえる6


オレは何か話さなくちゃって思って、必死に考えた。そんで、口を突いて出たのは…


「あっあのね、チナ。オレ…オレ…ッ、チナのこと、大好きだから…!!」


以前にも何度か言ったことのある、言葉だった。

そのときチナは、ふざけんじゃねぇ、って怒ったけど…。

また、怒るかな?て思ってチナの顔を伺えば、最初少し目を見開いて、それから俯いてしまった。


(やっぱ怒ったのかな?)


でも、なんだかチナの様子がいつもと違うような気がして…。
チナの顔が赤いような気がするのは、夕日のせい…?


暫くしてチナが、聞こえるか聞こえないかってくらい小さい声で呟いた。


「オ、オレ、も…、鼠のことは、好き、だ…。」


一瞬頭の中が真っ白になった。



え?



ええ!!!!????



今、今なんつった!?



鼠?


え、鼠って、鼠って、オレのことだよね!!!!????



「あ、チ、チナ…、あの、その…」


嬉しさでパニックになりながら、何か、何か言葉を返さなきゃ、と思い必死に言葉を繋ごうとしていたら、


「ライチュウ…が、だよね?」


頭の中で考えていることと、全く違うことが出てくる。


(うあぁぁぁああ!!俺のばか!!!!)




バコッ



オレの顔面に、お昼ご飯が入ってたバスケットが直撃した。



「カケルのバカ!!!」



夕日より赤い顔で、チナが叫んだ。そのまま走り去るチナの後姿を見送りながら、オレは顔の痛さとはまったく別のことを考えてた。



「…チナが、初めて名前呼んでくれた…!」




<2話 END>

081230

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