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だけど俺に、どうしたらライムを救えるんだろう。
そんなに深い闇を抱えた彼を、俺は救えるだろうか。


…また、拒絶される、かな。


ぎゅう、と、あの時拒まれた手を握る。
脳裏に浮かぶライムの怯えきった顔が悲しくて仕方ない。

またライムがあんな風になってしまったら。
今度こそ壊れてしまったら。

だけど拒まれたって何をされたって俺はライムを諦めるもんか。
それに先輩の話を聞いてもライムに嫌悪なんか抱かなかった。
確かに信じられなかったけどそれが事実なら、なんとしても、救い出したいんだ。


「…受け入れてくれたのは彼だから、俺はどんな彼だって受け入れる。受け止めてみせます」


そう、前を見据えた俺をキク先輩は目を細めてうっすらと微笑んだ。


「…弟を、よろしくお願いします」


また深々と頭を下げたキク先輩に、俺は必ず、と誓いを込めて同じ様に頭を下げた。


ライム、君はいい兄を持ったね。
君のために自分を犠牲にしようとして、更には年下に迷いなく頭を下げてくれるなんて。
ライム、君はこんなに愛されてるってこと、もう気付いてもいい頃だ。

だからもう、幸せにならなきゃおかしいだろう?



拒まれたって、傷ついたって。
君に手を伸ばしてやる。
君がこの手をもう一度掴むまで。


俺には君が必要だって、思い知らせてやる。


END.


120808

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