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「その話は了解できません」


ぴしゃりと強く言い放てばキク先輩は勢いよく顔をあげ元来穏やかな瞳に怒りを滲ませ俺を睨んだ。
俺は姿勢を正し殺気を正面から受け止める。
まずはこの人の誤解を解かなければ。


「…どうして、ザクロ…なんでライムのこと、そんな…嫌いなのか?あの子のこと…っ」

「好きだからですよ」


偽りのないその言葉を告げるとキク先輩はきょとりと目を丸くした。
何を言ってるんだと言うように。
だけど事実だ。
何かをキク先輩に言われる前に俺は矢継ぎ早に言葉を続けた。


「さっきはああ言ってしまいましたが…俺とライム、二年前から付き合ってたんです。俺から気持ちを告げて、彼も受け入れてくれました。本当に嬉しかった。ライムに初めて触れたのは昨日のことです。俺はすごく幸せだったけどそれが原因で彼は戻ってしまった。俺は何も知らなかったから」

「じゃ、じゃあさっきどうしてあんなこと言ったんだ。遊びとか、酷いことをたくさん…」

「あなたとライムが、付き合ってると思ったんですよ」

「はっ?」


驚いた声を上げる先輩に俺は二人が廊下で抱きあっているのを見たことを告げた。
その雰囲気が俺には好きあっているように見えたことも、それに嫉妬したことも、ライムに裏切られたと思ったことも。
全て。

話を進めるにつれキク先輩はみるみる顔を青ざめさせた。
まさか自分が関わっているとは思っていなかったのだろう。
だが俺は別にキク先輩に責任を感じてほしくてこの話をしたわけじゃない、俺の気持ちを疑ってほしくないだけだ。



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