正しさと優しさの不一致 4


…なぁライム、なんで。
なんで俺がライムのことを好きだって言った時、君は頷いた?
なんで自分はキク先輩が好きだって言わなかったんだ。

別に断ってくれてもよかったのに。
俺、惨めだろ。
勝手にライムの同情を勘違いして、両思いだと思ったなんて。
自分は遊びだったなんてことにも、気付かなかった、なんて。

ライムを見ていられなくて横を向いた。
もう何も考えられない。
どうしたら、何を言ったらいいか分からない。
この大きすぎる喪失感をどうしたらいい。

ふ、と影が落ちる。
顔をあげれば目の前にライムがいて、何を、と思う間もなくライムは俺の体を跨ぐようにして正面から抱きついてきた。

思考が追いつかないままライムを見れば彼ははふふ、と笑い俺の肩に手をかけ、耳元で囁いた。


「ね、ザクロ。シようよ。気持ちよくなればきっと嫌なことも忘れられるよ」


その言葉に耳を疑う。
なんだ、これは。
まるで娼婦のようではないか。

これは本当にライムなのか。
誰だ、お前は。


「ね?昨日みたいにさ、いっぱい抱いてよ」


そう言って首筋を舐めながら俺の自身にライムのを押し付けられる。
柔らかな感触と凄まじい色香に思わず生唾を飲んた。

…だがこの状況で、どうして体を繋げようだなんて言えるんだ。
それではまるで、体を望んでいたみたいじゃないか。

必要と言ったのは。
このためか。

気付いたら、思いっきりライムを突き飛ばしていた。
ライムが尻餅をついたような格好で驚いて俺を見る。
どうして突き飛ばされたのか分かっていないライムを見て、怒りよりも悲しみが勝った。

ああ、もうライムには触れられない。

だから言った。
抱けないと。

本当は別れようと言うつもりだったが、実際ライムは俺と付き合ってたのか定かじゃないし未練がましくも俺自身がその言葉を口に出来なかった。
本当に情けない。



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