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十一月拍手ss


十一月拍手ss
【テーマ:文化祭】



文化祭は当日よりも、実は準備しているときが一番楽しかったりする。
生徒会の最終チェックで、文化祭前日一つ一つのクラスをまわることになった。一年から三年まですべての教室に行かなければならないから、とても気の遠くなる作業だ。そして当然見知った顔にも出会う。

「三成様来てくれたんすね! それに詩織さんも!! 生徒会のお仕事ですか?」
「ああ。本来はお前がやらなければならない作業だが代わりに詩織が付きあってくれている」
「ス、スイマセン……」

一年三組の教室にやってくると、さっそく島くんと会った。彼は真っ黒なスーツとネクタイを身につけていた。いつも明るい色を好んで着ている彼なのでとても珍しい。

「どうしたのその格好。なんかホストクラブみたいだね」
「ホストクラブじゃなくて執事喫茶です。おかえりなさいませお嬢様、ってこんな感じで。是非遊びに来てくださいね!」
「じゃあ時間があったらお邪魔させてもらおうかな」

長い廊下を歩いているとあちこちから生徒たちのはしゃいだ声が聞こえてくる。学校じゅうが高揚感で包まれている。

「みんな楽しそうだね」
「学校の一大イベントだからな」
「三成くんもワクワクしたりする?」
「私はいつも通りだ。学校行事などで心は踊りなどしない。だが」
「うん?」
「お前が楽しそうなのを眺めているのはいいかもしれない」
「なにそれ」

すっと上に視線を上げて三成くんを見る。窓から射しこんでくる夕日に照らされて、彼の顔がいつもより血色よく映っていた。
明日は三成くんと執事喫茶に行ってみてもいいかもしれないなと思った。



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