澆季(双子と夢)




好きだ、と彼女は宣った。
馬鹿らしい、寧ろ本当に馬鹿なんだろう。そんな罵詈雑言をブツブツ反芻しながら、机上にだらしなく横たわる彼女の髪を人差し指でついとなぜる。
細やかな異物感。もぞりとまるで自分が触れたのに感づいたかの様に、彼女はグゥと変なうめき声を上げて来た。

椅子から立ち上がり、彼女の顔を覗き込む。目の前に年頃の、しかもどちらかと言えば欲望を抑える術を知らない部類の男が座って居るというのに、良くもまぁこんなに呑気な顔をして寝ていられる。
もし此処で勝手にキスをしたら、彼女は自分を嫌いになってしまうのだろうか。

「…構わないさ」

気にならないと言えば嘘だった。
少なくとも彼女は自分を見てくれていたし、自由奔放な彼女を見て楽しかったし、彼女からの告白を嬉しいと感じた。
けれど駄目だ、全然駄目だ。
微かに聞こえる息遣いが、甘く空気を染めて行く。目を閉じてみた。
何故だか泣いてしまいそうだったから。



「…むぁー…良く寝た」
「おはよう」
「…ねぇジョージ、」
「んー」
「ちゃんと知ってるよ」
(1人は馴れていた。他人の幸せを願う存在で在りたいと幼心に思ってしまってから、自分の幸せなんてとうに忘れた。
自分の愛しい片割れが、自分の愛しい家族が、自分の愛しい全ての人間が幸せになってくれて初めて、自分を幸せにしようと努力する暇が出来る気がした。)

しても良かったのに、と頼りなく笑う彼女に、泣きついてしまいそうだ。



澆季=世の終わり。
(きっと、そんなイメージ)



ジョージは子世代のヤンデレ要員。
桜LAN・馨と被りすぎて吹いたww



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