happy days | ナノ


□happy days 3
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「…背丈は??」
「そこそこ。でもルイよりは高いね。」

ギッと歯ぎしりしたシリウスに、リーマスは冷ややかに笑って答えた。
ザリスは馬鹿にしたような、少しトゲのある笑いを送ってきている。
ジェームズが二人と目を通わせ、ニヤリとした。
リリーとルイ、そして未だに固まっているピーターはピンときた。
ジェームズが浮かべたそれは、彼が結論に辿り着いたときの顔だった。






「…そういえばアイツ、この頃良くつっかかって来てたわよね。」
「でも何でルイに矛先が向くんだよ!!?
ルイは別にあいつに何も…」
「頭が固いねぇパットフッド。」

場所は変わり、談話室。暖炉前のソファの一帯を陣取っての会議である。
納得しているリリー、憤慨しているシリウスに、ジェームズはチ、チ、チ、と指を振った。

「考えてもみなよ??先生方にだって押さえきれない僕等に真正面からつっかかったって、仕返しされるのがオチだろ??
リーマスやピーターも同類だし(ピーターは別の意味でだと思うけど…)。
リリーだってやられっぱなしになんかは絶対にならない。となると、一番狙われやすいのは??」
「…一番大人しくて、非力なルイ。」

リーマスがボソリと呟く。
ジェームズは指をパチンと鳴らし、『That's right!!』と叫んだ。

「ルイは優しいから、多分どんな事でも自分の中に抱えこむって踏んだんだろうね。それにこの頃良く一人になりたがる。
まぁ何をしてるのかは知らないけど…(ルイはビクッと身を震わせた。だがジェームズはその事には触れなかった。)一番狙われやすい奴が一人になるっていうのは、背中に『どうぞ狙って下さい』って書いて歩いてるようなものだよ。」
「根性なしだな。」
「『どんな手段も選ばない』のがスリザリンだろ??」

眉間にこれでもかと皺を寄せたシリウスに、ジェームズは暗い笑みを返した。

「で??ジェームズ、君の作戦は??」

リーマスはゆったりとした口調で聞いた。
ジェームズはニヤリとして、探偵のように、そこら一帯をぐるぐると歩きながら腕を組んだ。

「悪戯仕掛人の第二の姫君を貶めた罪は果てしなく重い!!あ、ちなみに第一はリリーね☆(『ふざけないでよ!!』とリリーは頬を染めて怒鳴った。だがシリウスとリーマスは、心の中でおおいに賛成した。)
よって僕はスリザリンのピアス野郎に神の制裁を与えようと決意したのだが…僕の高潔なる判断に我もと思う者はいるか!!」

役者の様な大袈裟な口ぶりでサッと振り向いたジェームズに、シリウスとリーマスは即座に手を上げた。
ジェームズはそれを見てにっこりしたが、顔を幾分赤くさせたリリーも同じく手を上げたのには心底驚いた顔をした。

「わ、私だってルイを突き落とした犯人は突き止めたいわ。
だからこれはあくまでルイのためよ。一時休戦。
別に貴方達の為とかじゃないんだから、勘違いしないでよね。」

リリーがプイッとそっぽを向いて言う。ジェームズは満面の笑みを溢した。
コンパートメントを覗こうとした罪で、この頃ろくに二人きりになれなかったジェームズにとって、これはまたとないチャンスだった。
『ぼ、僕も…』とピーターがゆっくりと手を上げたのを見たのか見ていないのか、とにかくジェームズはルイの肩に手を置いた。

「というわけで、君の仇はキチンととってあげるよお姫様!!
名高き悪戯仕掛人の名に賭けてね!!」

にっこりと笑顔を渡すジェームズに、ルイは頬を緩ませて『ありがとう』と返事を返した…が。



「じゃあこれ以降、ルイには単独行動禁止令を下そう!!」



「…ええええええ!!??」

ルイは絶句した。
一人にならなければ日記が読めない!!

「??何か問題ある??」
「も、問題っていうか…何もそんなにしてもらわなくても!!」
「駄目よルイ。」

日記を読むという半日常茶飯事がなくなる危機を感じとり、ルイは断固抗議しようとしたが、リリーがきっぱりと言ったので思わず言葉に詰まってしまった。リリーのこういう口調に、ルイは一度も勝てたことがないのである。

「一人になったらそれこそ格好の的よ。私もジェームズの意見に賛成だわ。」
「そんな…」
「…大丈夫よ、ルイ。ジェームズに一日中ストーカーみたいに張り付かれるのがどれだけ精神的に辛いかなんて、私が一番分かっているわ。
でも、貴方の安全を保証する為なのよ…分かって頂戴!!」
「お前ほんっっっっとに嫌われてんのな。」
「愛の鞭だと最近は感じてるよ☆」

ルイは泣きそうになったが、リリーは『これも貴方の為なのよ』と言って聞かない。ルイが折れるしかなかったのだ。
結局ルイの意見はないがしろにされ、ルイの護衛はシリウス、リーマス、リリーとローテーションされることになり、ジェームズがザリスへの悪戯(という名の報復)の為の必要な物を今度のホグズミードで買い揃えるまでの間、リリー達三人がルイの側にいると言うことに決まったのだった。








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