happy days | ナノ


□happy days 3
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相変わらずの授業の難しさに、ルイは早くもウンザリしていた。
元々得意だった薬草学は何とか出来てはいたが、他はそうはいかなかった。

『変身術』は相変わらずで、ハツカネズミをガラスの置物にしようとしたのに、体の内部の内臓が丸見えの生きたネズミがちょこまかと動き周り、朝から吐きそうな気分になってしまった。

『魔法薬学』は必死に復習したのに、ピーターと組んだのが運のツキだったのか、大鍋がスミレ色のキノコ雲を発して大噴火し、先生から10点も減点されてしまった。

唯一授業で楽しみだったのは『数占い学』だった。
複雑そうで丸暗記すれば大丈夫な数式を、ただ淡々と解いて行くだけなのだ。
おまけに『数占い学』は午後の最後の授業であることが多く、分からなかったところをリーマスに分かりやすく教えてもらえる、お得な授業だった。

その日も、リーマスとルイは図書館の閉館時間までねばっていた。だがリーマスがマダム・ピンスの執拗な催促にとうとう根を上げ、ルイもため息をついて羽ペンの先を羊皮紙の先で拭き始めた。

「あっ」

インクの蓋を閉めようとしたが手が滑り、蓋は机の下へと転がっていった。
ルイは椅子から立ち上がり、机の下を覗きこもうと四ん這いになった。
手を伸ばし、蓋を掴む。だが掴んだのは蓋よりも大きくて、平たいものだった。

「???」

ルイはその瞬間蓋の事をすっかり忘れ、その平たい何かを掴んで外に掴み戻した。
黒い手帳だった。表紙は少し青みがかった絹糸で出来ていて、肌触りはルイの好きなものだ。

(…誰のだろう…??)

改めて手帳を持ち、パラパラと捲ってみる。
まるで教科書のようにびっしりと何かが書かれてある。
日付や年号は書かれていないが、どうやら日記らしい。

(こんな所に放置されてたってことは…
誰かのものじゃない…のかな…??)

ルイはウーン…と考えたが、リーマスがルイを呼ぶ声に気付き、慌ててもう一度机の下に手を突っ込み、蓋を溢れないようにきちんと閉めてインク壺を鞄に押し込んだ。
手帳はとりあえず、ポケットの中に入れた。

「何してたの??ルイ。」
「えーと…何でもないよ。」

リーマスが首を傾げて聞いてきたが、ルイは黙っておくことにした。
何となく、自分だけの秘密にしておきたかったのだ。

夕食は何事もなく振る舞おうとしたが、シェパードパイを3回も落としてしまった。
『熱でもあるんじゃない??』とリリーが心配したが、大丈夫と言ってパイを口に突っ込んだ。
夕食の間、リーマスがずっとこっちを見ていたので、まともに顔を合わせられなくて、隣にいたシリウスとリリーにしか会話が出来なかった。







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bkm





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