「…じゃあ、行ってきます。」
何とかタイガーアイズをカゴに戻し、ルイは兄に向かってそう声をかけた。
「手紙はちゃんと送っておくれよ。
あと寝る前の歯磨きも忘れずに!!それと…」
「もう…子供扱いしないでってば…」
顔を赤らめ、ルイはギュッと目を閉じて、レンガで出来た柱に突入した。
やっと…
やっと戻れるんだ…
ホグワーツに…!!
「あ、ルイ、それはッ」
ズッッッッガアアアアン!!!!
「いたああああああ!!!!」
「4分の3番線じゃないんだよ…って…遅かったか…」
「へう…痛いよぅ…(涙)」
柱に派手な音を立て、正面衝突したせいで鼻が真っ赤になった。
鼻をぐずぐず言わせながら、ルイは散らばった荷物を慌てて掻き集める。
一番最後の荷物は、大分向こうにあった。
ルイは腕を伸ばしたが、先に誰かの手が荷物を掴んだ。
「相変わらずだな、ルイ。」
「…シリウス!?」
長い前髪が目にかかり、シリウス・ブラックは髪をかき上げる。
立ち上がったルイに、シリウスは荷物を渡した。
「ありがと…?…シリウス、もしかして背、伸びたの??」
「夏中に大分。…お陰でお前より視界が高ぇぞ。」
ニヤニヤしながら、シリウスはルイの頭をクシャクシャと撫でた。
ルイは女の子の中でも真ん中あたりの背丈だったが、彼の目線はそれよりも頭一個分高い。ルイは自分の遺伝子を恨んだ。
「それにしても…4分の3番線を間違えるとか…お前は全くって位変わんねぇよな…」
「い、言わないでよ…」
痛いところを突かれ、ルイは顔を真っ赤にする。今にも泣きそうなくらい瞳を潤ませ、無言で下から見上げて来るルイの顔を見て、シリウスは笑いながらもほんのりと赤くなった。
「とにかく、ジェームズ達の分まで早く席取っておかないとな。行こうぜ。」
「う、うん…」
シリウスはルイの手を握った。
内心その行為はドキバクものだった。
だが、そんなシリウスの決死の行動は…
「君…何をしてるのかな??」
ルイのシスコン兄、マークによって遮られた。
「何って…何がだよ、マーク??(…久し振りじゃねぇか、シスコン野郎。。)」
「久し振りだね、シリウスくん。(まだ懲りずにルイに近付居て来るんだねぇ、命知らず!!)」
マークの手は、二人を直ぐ様引き離し、びっくりしたまま固まっているルイの手をハンカチで拭いている。
「君の噂は色々と聞いているよ。ウチのルイといつもとても仲良くしてくれているそうだね。(そしてあわよくばモノにしようと思ってるらしいじゃないか!!僕は一切認めないからそこんとこよろしく!!)」
「…それ程じゃねぇよ。(テメェ言いたい事いいやがって人を病原菌みたく扱うんじゃねぇよ!!ルイを返せ!!)」
二人がニコニコしながら激しい会話をしていることにルイは全く気付かなかった。
「シ、シリウス…早く行かないとコンパートメント取られちゃうよ…??」
「おぉ!!そうだったな!!じゃあ行くか!!(ヘッ、ザマ見ろシスコンめ!!)」
思いっきりルイの見えない所でシリウスはマークにアッカンベーをして、そそくさとルイについていく。
今度こそ、真っ直ぐ4分の3番線に突っ込んでいく。シリウスに荷物を押してもらっているお陰で、スピードがグングン増して行く。
「…でも…良かった…」
「あ??何が…??」
ルイは柱に突っ込む寸前、ふんわりと優しく笑った。
「一番最初に会えたのがシリウスで…」
シリウスは真っ赤になり、4分の3番線に居るのにも気付かず、ルイを抱きしめたい衝動に駆られた。
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