「…ルイ??」
最初は、幻聴だと思った。
次は、夢の続きと思った。
最後に、願望だと思った。
「…ルイ…??」
何も信じられない現実で、
誰を頼れば良いのだろう。
誰も自分を知らない世界で、
何を信じれば良いのだろう。
また信じられなかったら、
また知らない誰かだったら、
今度は何を、失えば良いのだろう??
「…ルイ。」
もう、呼ばないで欲しい。
もう、一人で居させて欲しい。
何も信じられずに、
誰も知られない自分で、
消えてしまいたいのだから。
「…また、泣いているのか??」
声を、聴いた。
なけなしの希望を握り締めて。
顔を、上げた。
ギリギリの願いにしがみついて。
昼下がりの日差しが暗い影を作る。
夜のように黒い闇の中、
自分の嗚咽だけが辺りを浸す。
けれど、足跡は降りてくる。
トン、トン、トン…自分が階段の下に居るのが、分かり切っているかの様に。
鼻を啜って虚空を見る。
まだ、その人の姿は見えない。
「…ミルズが、心配していたぞ。
あまり溜め込んでやるな。」
いつもの彼ならば、
ミルを名前で呼ばない。
いつもの彼ならば、
こんなに優しい声を出さない。
ぶっきらぼうに口を尖らせて、
石に敷かれた様に低い声で、
またか、とか、今度はどうした、とか、
平板な言葉を言う筈なのに。
「…ルイ、」
けれど、足音は降りてくる。
トン、トン、トン…階段の手摺り越しに見えた足は、止まる事を知らない。
咄嗟に息を詰まらせて閉口する。
悲惨な言葉を口走りそうで、
自分がとても、怖かったから。
「…、ルイ」
雲に遮られた太陽が、屈折を起こす。
突然明るくなった眼前に、
ルイは思わず目を瞑った。
幾何学的な模様が虹色に蠢く中で、
誰かの暖かい指先が、頬に触れた。
恐怖と、疑念と、驚愕で、顔を捩る。
苦笑する様なため息が、耳を擽った。
「…『大丈夫』だ。」今までの中で一番の懐かしさだった。
見開いた瞳から、決壊した様に涙が落ちた。
温かさも、優しい声も、何もかもが。
例えルイの知っているそれと違うものだったとしても。
それは同じように、ここに在った。
「セブルス…」
名前を呼ぶのが精一杯で、
ただ呼ぶのに一生懸命で、
彼が『あぁ、』と答えたのに、
ルイは気付かなかった。
TO BE COUNTINUE...
後書き…
まさかの異例の翌日UP…もう何か執筆欲が止まらんのよ。
ていうか某氏がラスボスの様な扱い…どうしてこうなった!!!
というかビロはミルちゃんとザリスを贔屓し過ぎてる。ミルちゃんは確実に身内の影響だけど、ザリスは何故か絡めてしまうww
個人的主観ですが今回初心に帰って、かなり簡潔な文章書くよう努めてます。
色々ごちゃごちゃ書くよりも、ストレートに行った方が書く側も萌えるというもの。
筆が進むスピードも速いし、この話終わるまではキープしておきたいところ。
(またまた勝手に)続きます!!!
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