happy days | ナノ


□happy days LOS2
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「…そう言えば、今日変な夢見たの。」
「え、変な夢??」
「どんなだよ。」

ミルとザリスが睨み合いを辞めて、ルイを不思議そうに覗き込んだ。
スープを掬おうとしたスプーンを止めて、ルイはスリザリンのテーブルから見て反対側の…校内では敵対していると公認の、グリフィンドールの方を見た。

「…夢の中でね、私はグリフィンドール生なの。色んな人に囲まれてて、凄く毎日が楽しくて…スリザリンとグリフィンドールは相変わらず仲悪いけど、一人だけ、スリザリンの男の子ととても仲良しで…
だから今朝起きた時、何だかスリザリンのネクタイが凄く不思議に思えちゃった。」

無意識に、夢の中で自分を迎えてくれた人達を探していた。笑顔でテーブルを囲んでいた彼等の姿は、何故かどこにも見当たらない…ワイワイと騒がしく、人だかりを作る位楽しく食事をしている筈なのに。



「夢に決まってるわ。」



ミルの思いがけなく冷たい声に、ルイは何故か動揺を隠せなかった。
恐る恐る戻した視線の先には、いつもの溌剌とした表情を拭い去った、ルイが見た事もない程冷静な顔のミルが居た。

「馬鹿で騒々しくて、おまけに他人の気持ちなんててんで考えない最低な奴等しか居ないのよ??そんな所に居る夢見たなんて、ルイも災難よね。」
「…ミ、ル…??」
「そりゃ変に決まってるな。そんな夢見たら俺なら気が狂いそうだ。クィディッチも反則ばっかで、チームにロクなプレイヤー居ねえしよ。この前の試合でシーカーにやられた奴、まだ医務室から出られないって噂だぜ。」
「うっそ、まだ治ってないの??
あのシーカー、顔はイイけどラフプレーばっかで嫌いなのよねー私…授業もほとんどサボりまくってるらしいし、早く退学処分とかにならないかしら。あんな奴が居るなんて、それこそホグワーツの恥だわ。」
「ハッ、言えてる。
いやーホント、






グリフィンドールなんかに入らなくて良かったぜ。






「そんな事言わないで!!!」



ルイは、気付けば…
大声を上げて椅子から立ち上がって居た。
近くに居たスリザリン生だけでなく、隣のテーブルのレイブンクロー生までもが、その声に驚いて、口や手を止めてしまう程に、彼女の悲鳴は鋭く空気を裂いた。

「…え…」
「ど、どうしたんだよ、ルイ…」
「…な…そんな悪口…言わないでよ…!!」

ハァハァと肺に貯まった居心地の悪さを吐き出しつつも、ルイは漏れ出す呼吸を何とか声として絞り出した。視界が真っ赤に染まって、酸欠みたいな気分だった。

「悪口、って…な、何言ってんの??貴方は兎も角、私やザリスがあいつ等を貶すなんていつもの事じゃない…」
「そ、そうだよ。ルイだっていつもは笑って聞き流すじゃねーか…あ、ああ!!アレだろ、今日の夢のせいで、グリフィンドールの奴等に感情移入してるだけだろ??」
「と、とりあえず落ち着きなさいよルイ。貴方、夢のせいでちょっと感情的になってるのよ。暫くしたらすぐに…」

眼前に伸ばされた小さな彼女の手が、何だかとても他人行儀な気がした。ミルの皮を被った何かとても恐ろしい物が、自分を捕まえようとして居る気がした。



「…ッ!!!」



ルイは思わず、
平手でミルの手を弾き飛ばして。
熱い目元を隠す様に、そのまま大広間から足早に走り去って行ってしまった。

ザワザワと追い掛けて来る視線すらも、自分を捕らえようとしている、気がした。



「…どうしたんだ、あいつ。」
「ルイ、たまにああやって不安定になる時あるから…優し過ぎるのよ、あの子。
ま、それが良い所でもあるんだけどね。」
「…んなの、とっくに知ってるよ。」
「あぁ、だからアンタルイに惚れたんだっけ。ホグワーツ一のイケメン様を骨抜きにするとは、あの子も罪よねー」
「…褒めてんのかそれ。」
「馬鹿にしてんのよバカ。そんなんだからいつまで経ってもお友達レベルなのよ。」
「何だとこのチビ!!」
「何ですってえええええ?!!」
「ギャッ!!ちょっフォークはヤバイってマジで刺さるって刺さった事あるって!!!」









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