時に、人という生き物には、何が何でも貫き通さねばならない真実がある。
「俺が何をしたあああああああああああああああ!!」シリウスは絶叫した。
「ねぇ、リーマス君??」
「何だいジェームズ君??」
「どうしてリリーは何かあるとこう、プロレス技に走るんだろうね??」
「うーん…趣味なんじゃない??」
「マジすかktkr!!リリー僕にも是非そのトライアングル・スリーパー・ホールドを決めてー!!」
「止めてあげて!!シリウス泡吹いてる!!白目!!白目剥いてる!!」「(カクッ)」
「あ、落ちた。」
「シリウスゥゥゥゥ!!!」唯一まともに自分を庇ってくれるピーターに気付け薬を飲まされ、唇についた泡を拭いながら、シリウスはこれからはもう少し彼に優しくしようと誓った。
嗚呼、ピーターの背中に天使の羽が見える。
「それに比べたらてめぇ等は鬼だ!!!」
「あ、復活した。」
「介抱上手いもんね、ピーター。
薬飲ませる時も手際良いし。」
「(褒められても嬉しくない…)」
「…まず!!オイこらリリーこの野郎!!!
何の恨みがあっていきなり攻撃すんだ、気絶すんのもなぁ結構辛いんだぞ!!?」
「論点ずれてるよシリウス。」
「ていうか…本当どうしたの??リリー。」
ちょっとばかりリリーの勢いに圧倒されて、とりあえず合わせていたものの、突然医務室に飛び込んで来て寝技を決めた彼女の真意が分からなかったリーマスは、首を傾げてリリーを見上げた。同時に背中の皮膚に刺す様な痛みを感じたが、顔には出さない。
…それよりも。
「……。」
「な、何だよ…」
まるで親の仇みたいにシリウスを睨み付けるリリーの様子が、何だかおかしいのだ。
いつもなら自分の感情を明け透けに出して、ぎゃんぎゃん口喧嘩をしながらのた打ち回るシリウスを押さえつけるのに…表情が晴れないというか…泣きそう??
「…リリー、何か言いたいなら言ったら??
黙ってたら何も分かんないよー??」
見かねたジェームズが俯いたリリーの顔を覗き込むと、条件反射の平手打ち。心なしか嬉しそうな顔をするジェームズに引いた瞬間、リリーが赤い顔のままシリウスに向かって…
「…ッ誰が教えるもんですか!!!」
そう怒鳴ってから、そのまま脱兎の如く医務室を去って行った。
皆がぽかんと口を開ける中、誰よりも早く自我に目覚めたのは…
「ああッ、リリー!!
トライアングル・スリーパー・ホールドは!!?」
と虚しく叫んだ変態だった。
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