嗚呼、この温もりがどうかどうか。
消えてしまいません様に。
この体に感じる温もりが。
誰かに消されてしまいません様に。
「げッ、もうそろそろ集合時間だぜ??」
「えー、もう??早いなぁ…」
「ねぇ、どうせならゆっくり帰らない??今から走ったって間に合うワケがないんだし、どうせ先生達が巡回で来るんだから、皆で帰ろうよ。」
「ちょっと、ちゃんと門限は…」
「い、良いじゃない、リリー。
今日位はゆっくり歩こ??」
「……ッ!!!(きうぅんっ!!)
そうねッゆっくり帰りましょッ☆」
「「「「(恐るべしルイパワー。)」」」」
「???」
空はもう晴れていた。やっぱりと思う。
あんな煤けた色なんて、ここには似合わないと言わんばかりに。
不安げな雲は去り、三日月が顔をひょっこりと覗かせていて、銀色の光を巻き散らす。
ルイは月を見上げる。
相変わらず、今日1日がどんな1日だったかさえ分からないけれど。
この月の光は、本物だった。
「ルイ、置いてくぞ。」
「リリーが一緒に手を繋ごうってさ。」
声に振り向けば、その向こうにはシリウスとリーマスが自分を待っててくれている。
待たせてはいけない。ルイは二人の居る場所へ駆け出した。
『叫びの屋敷』の方角には、たった1つの足跡しかない。
けれど、灯りの輝くホグズミードへと続く道には、沢山の足跡がついていた。
一人の眠り姫は、眠りについた。
少年少女の胸には、灯りや疵があった。
それを根こそぎ奪い取るように、
挙げ句は眠り姫にビンタを喰らわして、
全てをかっさらって行った泥棒も、
また、眠り姫だった。
彼女が何を求めていたのか、
彼女は何を願っていたのか。
それは、誰にも分からない。
けれど。
それは光となり、空に降り注ぐ。
神が授けた命を、
誰よりも美しく咲き誇らせる為に。
少年少女は彼女をこう呼ぶ。
全てを始まりへと戻る者。
『ルイ』という名の元に。
TO BE CONTINUE…
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