happy days | ナノ


□happy days 34
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「…ッあ…!!!シリウスー!!!
こっち!!こっちだよおおお!!!」

ピーターの嬉しそうな声に、3人はバッと振り返った。リリーは既に涙目だった。
向こうからゆっくりとしたテンポでやって来るのは、寒くなったのかしっかりとマフラーを首に巻いて歩いて来るシリウスと、彼の後ろからチラチラ見える2本の足。
リーマスはたまらず彼に駆け寄った。
ジェームズとリリー、ピーターもそれに続いた。

「…ルイ…ッ良かった…!!
怪我とかしてなくて…ッ!!」

厳しい表情のまま顔をこわばらせていたリリーが、安堵のあまり泣きそうな声を出した。
リーマスもリリー同様、今にも泣き出しそうな顔を何とか引きつらせて我慢していた。

「どこにいたの??!」
「『叫びの屋敷』の前。
コイツの物好きにもほどがあるぜ…」
「あー…それは確かにねぇ…」
「…寝てるの…??」

リーマスはルイの顔から目を反らさずに聞いた。
シリウスは頷き、試しに彼女をユサユサと揺らしてみたが、ルイはピクリとも動かなかった。

「運んでる途中に寝ちまってよ。幾等揺らしても何しても起きないんだわコイツ。
こっちが寝たいくらいだってのによ…」
「あはは、お疲れさんだね。」

ジェームズは苦笑しながら言葉をかけた。
シリウスもそれにつられて笑った。
…と、背中にいる彼女がムズムズと動いた。

「あらら…起きちゃうね。」
「シリウス!!貴方がうるさくするから!!」
「俺かよ!!」
「(僕はリリーだと思うんだけどな…)」

シリウスとリリーがギャーギャー言っている間にも、彼女は寝苦しいのかムニャムニャとぼやいた。
…あ、でもそんなに動いたら…

ごすっ

「「ルイーー!!?」」
「(…やっぱり…)」

リーマスの思惑通り、彼女は後頭部から真っ逆様に倒れた。
地面の硬さは音で分かる通りだった。
シリウスとリリーが慌てて彼女に駆け寄る。
リーマスもそうしたかったが、ふと足を留めた。
何故だか、それから体が動かなかった。



「ルイ!!?だだだ大丈夫!!?」
「ちょ、オイ!!起きろよ!!!」



流石はシリウスとリリーだ。
二人は眠っている彼女をがっくんがっくん揺さぶっている。



「…??どうしたんだい、ムーニー。」



ジェームズは不思議に思ったのか、突っ立ったリーマスの顔をヒョイと覗き込む。
然し、彼の目線は目の前の三人を…
否、揺さぶられる彼女に釘付けだった。



虫の知らせか、風の便りか。
どちらにしろ、不思議な直感があった。
確信にも似たその事実に、愕然とする。

どうしてなのかは、自分にも分からない。
けれど、確かな真実だと体が叫んだ。

目の前に居る人は。
目の前に居る彼女は…














「…ルイ……????」















その瞬間、彼女の瞼がピクリと動いた。
何度か小さな瞬きを繰り返し、その重い瞼はゆっくりと開く。

その中から現れたのは、
もう、闇に染まった褐色ではない。



どこまでも、どこまでも澄んだ光を湛えた、






綺麗な…綺麗な、瞳だった。






キラキラと輝くその瞳に、リーマスは拳を握った。
ドクリドクリと、血が騒いだ。












それは、待ち望んだ光。



どこまでも、透き通った光。



自分を人間として支えてくれた彼女の。



自分を大好きだと言ってくれた彼女の。



愛しくて堪らない、光に満ちた褐色。
































「……リリー???」

ルイは目をパチパチと瞬いた。
自分の見ている光景は、まるで下手なコメディ映画のワンシーンの様だと思った。
体をヒョイと支えて周りを見れば、シリウスもジェームズもピーターも、リーマスもいた。







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