happy days | ナノ


□happy days 29
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さくり、さくり、さくり。

夢を見ていた。
白い雪が零れ落ちる涙の様に、
地面へと積もり続けている夢を見ていた。

さくり、さくり、さくり。

誰かが、歩いている。
雪が体重により固められて行く音を聞きながら、
しかしその場から動こうとはしなかった。

さくり、さくり、…さくり。

足音が、止まる。
それは、自分からほんの数mも離れていない場所で、足を止めた。
しんしんと雪が降る中、寒さは、感じない。

ジェームズは、隣を見た。
雫が、その頬から零れ落ちた気がした。






「…ター、Mr.ポッター。」

マダム・ポンフリーが自分を呼ぶ声で、ジェームズは目をさました。
彼女が留守で開いていなかった医務室の前で、ついウトウトしてしまった様だった。

「あ、れ…僕、寝てました…??」
「えぇ。こんな所で寝ては風邪を引いてしまいますよ。
もうそろそろ風邪が流行りだす時期なんですから、健康管理はキチンとしてもらわないと。」

自分の仕事が増えるのは真っ平御免らしいマダム・ポンフリーに、ジェームズはとりあえず愛想笑いを返した。
それよりも彼の脳裏を埋め尽すのは、先程見た、あの雪の降り積もる夢。
あの景色は、今でも覚えている。
こんな時に思い出すとは。
自分の日頃の行いは…相当酷い様だ。

「今はもう起きています。
Ms.マクゴナガルが持って来て下さった本を読んでいる事でしょう。」

マダム・ポンフリーはそう言って、医務室の扉を開けた。ギギギ…と軋む音と共に、医務室からは光が溢れて来る。
ジェームズは目を細めながら中に入った。

目についたのは、山積みにされた本達。
その1つを手に取り、彼女はページを捲る。
サラリと流れた漆黒は、キラキラと光に瞬いた。
本に熱中していた褐色がふと、ジェームズへと視線を飛ばした。
ジェームズはニコリと笑った。
顔が引きつっていない様に祈りながら。
彼女はカクン、と首を傾げた。
その人形の様な仕草に何故かまた、
ジェームズは今日の夢を脳裏に反芻する。

「…こんにちは。僕はジェームズ・ポッター。」
「…こ…にち…は…」

警戒しているのか、彼女は頭を下げつつもジェームズを見たままだ。
ジェームズは間髪入れずに言葉をつむぐ。

「君の名前は??」
「あ…あたしの…??」

彼女が明らかに動揺した。
しばらく目を泳がせた後、ジェームズを見上げたが、ジェームズは笑ったままだ。

「…ご…ごめん…なさい…」
「分からないの??」
「…」

彼女は無言で頷いた。
名前さえ言えないのを悔いているのか。
ジェームズはゆっくりと彼女に近寄り、その白い細い手を取った。
微かに、微かに、振動が伝わってくる。
ジェームズはまた、彼女に笑いかけた。



「じゃあ、僕が付けてあげる。



君の名前は…」









良心が、悼んだ。

けれど、耐えられなかったのだ。









「君の名前は、レイだよ。」







『レイ』。

そう、その名前は。



生まれるはずのなかった、

自分の、大切な人の名前。






TO BE COUNTINUE…



後書き…

ワッカッメェエエエエエ!!!(意味:意味不明
てかすごい意味分からん…orz
ベラはこんな喋り方しないよ!!!(泣)
相も変わらずセブ喋んないなぁ…

続きます!!







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bkm





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