彼女は、あんなにもあんなにも。
人を求めていたのに。
人狼である自分にでさえ、
泣きながら、孤独を訴えていたのに。
伸ばされた手は
あんなにも
近くにあった 筈なのに
バン、と大きな音を立て、リーマスは扉を蹴破る様に開けた。螺旋階段を2段飛ばしで駆け降りると、そのまま医務室へ脱兎の如く疾走した。
ジェームズはまだ、校長室で涙を零している。
「………せん…せい……」
「…………何かな??ポッター。」
「…………僕、らは…
ルイの、孤独を、癒せて、ましたか??
……ッルイの、悲しみ、を、
ほんの少しでも…いい…、
忘れさせて、やる事が、
出来たんですか……??」
余りにも、悲しくて。
余りにも、可哀想で。
「…ポッター、いや、ジェームズ。
君は、ルイ・ホワティエを、救った。
暗闇の孤独から、彼女を救ってくれた。
そして、理解をしてくれた。違うかのぅ??」
ダンブルドアの言葉に、彼は頷いた。
そう、彼はもう、理解しかねている。
もう後戻りが出来ない事も。
これから先、ルイの行く末を見守らなければならない事も。
ダンブルドアは、柔和に微笑む。
「君は、彼女を救ってくれた。
そして今、また、彼女を知った。
理解ある救いより、人間にとって嬉しい事などないのじゃよ、ジェームズ。」
ジェームズは駆け出した。
ダンブルドアには、行く先は分かるだろう。
自分は、理解した。
だから、救いに行くのだ。
悲しみしか知らないお姫様を。
起こしに行かねばならないのだから。
『わたしを、さがして。』
涙が、次々と零れ落ちて来る。
ただ心に在るのは、
張り裂けそうな胸の痛みだけだ。
『わたしを、わすれないで。』
自分の愚かさと、無力さが、悲しい。
探していた物は、目の前にあったのに。
悲しみ傷付いた彼女は。
すぐ近くで、痛みに耐えていたのに。
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