だってこんなにもこんなにも。
胸が張り裂けそうに痛む位、
あの夏の日、彼女を見たその日から、
自分は、彼女に魅せられているのだから。
例え、何が起ころうとも。
例え、何が自分を阻もうとも。
この、運命さえ感じた恋は、
誰にも止められる事は出来ないのだから。
「わたしを、さがして。」
凛と響いたその声と共に、ルイはゆっくりと振り返る。
久しぶりに光が輝いている褐色は然し、悲しみとも似つかない涙で濡れている。
「わたしを、わすれないで、
わたしを、けさないで、
わたしを、さがしつづけて。
ずっと、まってるから。
ずっと、いのってるから。
いつかまた、であえるように、
ずっと、
ずっと、
まってる、から…」
それは、余りにも、悲しくて。
それは、余りにも、残酷で。
少女が抱えるには、余りにも大きく。
少年が受け止めるには、余りにも冷たく。
彼女の精神を狂わせるには充分すぎる程、
的確で、悲惨で、残酷で。
ああ、だから、彼等は。
迷子になった子供の目をしていたのか。
探し続けた人間が、目の前にいるのに。
その約束を、思い出せていないのか。
だから彼等はあんなにも。
人を失ったり、忘れる事を拒むのか。
「ぅ、あ、あぁ、あ……ッ!!!」
そう、だから、彼は。
彼女を、探し続けていたのだ。
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