happy days | ナノ


□happy days 19
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中を 覗いては いけない



だから 見えない様に 封をした



板を釘で張り付けようか



縄で縛ってしまおうか



それとも









封をしているその扉に






火をつけてしまおうか

















「え……シリウス??」

思わずルイは口に出してしまった。
シリウスはかぶりついたパンを飲み込み、

「俺じゃ不満か??」

と意地悪そうに聞いて来た。
うっとうめいた辺りで、心境がばれてしまう。

「だってリーマスが、リリー達が待ってるからって…」
「リリーならジェームズ無視したままお前の事探しに行ったはずだぜ??」

要するに、ルイはリリー達がルイのすぐ側にいたことも知らず、てっきり彼女達がまだ大広間に居ると思い込んでいたのだった。
しかも数分前までピーターも居たらしいのだが、ピーターもリリー達同様、リーマスの後を追って、大広間をでて行ったとのこと。
ピーターさえ居れば、まだ救いはあったのに…
ルイはため息をついて肩を落とした。
ふと、鞄を持っていた手が軽くなる。
不思議に思い顔を上げると、シリウスがルイの鞄を肩に持ち換えている所だった。

「じ、自分で持てるよ…!!」
「いいよ、お前走って来たんだろ??」
「そ、そんなに疲れてないから…!!」
「何だよ…そんなに嫌か??」

急に顔の距離を縮められる。
シリウスの灰色の瞳に自分が映っているのが見える位顔が近いことが、ルイの開きかけた口をぐっと閉じさせた。

「と、とにかく良いから…か、鞄、返して!!」

ルイはシリウスから鞄を奪い返そうとしたが、シリウスは何を思ったか、ヒラリとかわした。
そしてルイの背では到底届かない高さまで鞄を高く掲げ、ブラブラと揺らしてみせる。

「―か、え、してぇぇ…!!」

必死にルイが顔を真っ赤にして、爪先立ちしながら手を精一杯伸ばす姿を至近距離で堪能するシリウスの脳裏は、

「(あぁ…可愛い…☆)」

という言葉で満たされている(変態だ)
周りから見れば『好きな子程いじめたくなる』というタイプの典型的な行動だ。
しばらくするとルイの目までもが赤くなって来たので、流石にやりすぎたかな、と思い、シリウスは苦笑しながらルイに鞄を返した。
ルイは返された鞄を胸の前でギュッと抱き締め、眉をしかめてシリウスを睨んだ。
シリウスはニヤニヤしながら、『遅れるぞ』とだけ声をかけ、大広間を出た。
目の隅でルイが慌ててついて来ているのを確認し、一人優越感に浸りながら。






「…何で僕が、わざわざ、貴様と。
医務室に行かなければならんのだ。」

今朝のシリウスと全く同じ様に、ムスッとした顔のままセブルスが呟いた。
台詞の箇所箇所からひしひしと不満気な感情が伝わってくる。
その彼の表情に、思わず忍び笑いしながらリーマスは答えた。

「事実、ルイから医務室に行けってしつこく言われてたからね、僕。」
「…心配されてるのだな。」
「…だって『同じ寮生』だし。」

羨ましいというニュアンスだったのだが、後ろから聞こえてきたリーマスの口調に、微かに嘲りの感情が織り混ぜられていた事に気付いたセブルスは、眉間の皺を一本増やす。それが、彼の無意識下における意識的な行動だという事もセブルスは見抜いていた。

「スネイプ。」

急に歩みを止めたリーマスに、セブルスは怪訝な表情そのままに振り返る。



「君は、焦らないのかい??」








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