「……!!」
その笑顔は、天使と見紛う程に。
その言葉は、女神と見紛う程に。
途方もない愛しさが、喉へとこみあげる。
嗚呼、何て綺麗なのだろうと。
涙さえ、零れて来そうだ。
「……それは、『好き』とは違うの??」
「え??」
きっと背後に隠れているだろう彼に聞こえる様、
シエナは少しばかりはっきりと、声を大きくする。
「ルイ、シリウスの事が好きなんじゃない??」ルイは目を見開いた。
シエナは黙ってそれを見つめていた。
「シリウス!!」
「ぅわッ!?」
「あら??」
「!!」
突然背後から出てきたリリーが、シリウスをドンと押した。
その拍子に、シリウスは思いっきり壁から飛び出してしまった。
ルイは目を見開いたまま硬直した。
シエナは吹き出しそうなのを堪えた。
「もう!!いきなり居なくなって…今までどこほっつき歩いてたの!?
皆パーティーの主役がいないって探し回ってたのよ!!」
リリーがプリプリしながら怒鳴った。
ピーターはその後ろでオロオロしていた。
「あら、そうだったの??シリウス。知らなかったわ。
それなら人の話を立ち聞きする暇なんてなかったじゃない☆」
「な…ちょ、オイテメェ!!」
シリウスが驚いて振り返りざま怒鳴ったが、シエナはクスクス笑いながら、『じゃあまた明日ね〜☆』とルイに言葉をかけ、そそくさと寮へと帰って行ってしまった。
ああ、やっぱり彼らを試すのは…シエナは笑う。緩やかに。
もうじき終わってしまう、秋の涼しい風のように。
「楽しいものねえ」
茫然としたままルイに視線を戻すと、ばっちり目が合った。
ルイは硬直している。
「ルイ??どうしたの??」
何も知らないリリーがルイに問掛ける。
ルイは放心したままリリーを見やり、
そしてピーターを見やり、
その後ろにいたジェームズを見やり、そして………
「……!!、!!、!!!」
かあああああっ
「え、ちょ、ルイ!!?
待っ…どこ行くのよおおおお!!?」
顔をトマトの様に赤くして、泣きそうな顔のまま走り去ってしまったルイを、リリーは慌てて追い掛けて行った。
ピーターもその後を追い、ジェームズとシリウスは残された。
「えーと、…パッドフット??」
「……っ!!!!」
ジェームズが声をかけた瞬間、シリウスはガクリと床に膝をついた。
「ど、どうしたんだい??!!」
「……ヤバイ……」
「何が!!?」
シリウスは顔をルイに負けず劣らず真っ赤にしたまま、ポツリと呟く。
「……犯罪的に可愛い…」
「………はぁ??」
ジェームズは間抜けな声をだした。
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