happy days | ナノ


□happy days 17
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その夜、グリフィンドール寮はシリウスのかつてない活躍に大いに浮かれていた。
シリウスの周りには沢山のグリフィンドール生が集まり、彼にしつこく体験談を聞いた。
シリウスは得意気に皆に話を聞かせていたが、ふとルイが居ないことに気が付き、トイレに行くと言って談話室を出た。






「グリフィンドール、優勝おめでとう。」
「ま、まだ優勝してないよ、シエナ…」
「あれだけの試合をこなせたんだもの、
優勝に値する位の価値はあるし、本当に優勝するかも知れないわ。」

ルイは顔を赤くしてはにかんだ。
シエナはにっこりと笑い、窓にもたれた。
窓から差し込む月の光は、彼女のダークブラウンの髪を優しく照らしている。

「…シリウスのこと、なんだけどね。」

シリウスの名前を聞いた瞬間、ルイの表情がこわばったのが手に取る様に分かった。
けれどシエナはルイにフワリと笑いかけた。

「フラれちゃった。」
「……え…??」
「結構頑張ったんだけどねぇ…
私の目は、シリウスを見てないんだって。
だから…気持ちには応えられない、って。」
「……そう……」
「あら、どうしてルイが悲しい顔するの??
私とシリウスが付き合って欲しかった??」
「えッ…あ…」
「…それとも、付き合って欲しくなかった??」
「えッ!!?」

ニヤリと意地悪そうに笑ったシエナに、ルイは顔を即座に真っ赤にした。
返答に困るルイを見て、シエナはクスクスと笑いながら『冗談よ』と言葉を付け足した。

「もうシリウスのことは諦めるわ。
このまま引きずってても仕方ないし。」
「そう…」
「…それでね、ルイ。



私とこれからもずっと、友達でいてくれる??」



「え……」
「シリウスのことがはっきりした後でも、
私、貴方とずっと友達でいたいと思ってるわ。
…ルイは、私と関わりたくない??」
「そ、そんなことない!!
…友達よ!!ずっとずーっと!!!」

ルイはブンブン首を横に振った。
シエナは微笑んで『ありがとう』と呟いた。
ルイはぎこちない笑みを返した。

「…ああ、それとね、ルイ。
私あなたに一つ聞きたいことがあって。」
「??なぁに??何でも聞いて。」

シリウスはルイのその声に進めていた足を止める。
然し曲がり角から足を踏み出そうとした瞬間、次の言葉に停止した。






「貴方は……
シリウスのこと、どう思ってるの???」






「…え…???」
「貴方にとってのシリウスって…どんな人??」

心臓の音が酷く大きく聞こえ始めた。
シリウスの無意識は懸命に、気配を消すことに全力を尽くし始めた。
静寂が、酷く痛い。
暑いわけでもないのに、喉がカラカラに渇いて来た。



「……大切な、人。」



蚊の鳴く様な声は、そう言葉を紡いだ。
頬を赤らめ微笑をたたえた彼女の表情に、シエナは思わず魅入った。



「少し…怒りっぽくて、
自信満々で、
悪戯好きだけど、

本当は、
少し子供っぽくて、
でも周りのことを一番に考えてて、
すごく、すごく優しい人。

だから………」

「だから??」



シエナはルイの語尾を反復する。
ルイは、微笑んだ。






「だから、大好きよ。」












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