happy days | ナノ


□happy days 11
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見ての通り、どうやら嫉妬している様だ。

「あはは、ジェームズ怒ってる怒ってる…
リリー、わざとあんな事言っていいの??」
「練習だからって力入れなさすぎよ。
幾等シリウスが本番に強いタイプだからって、練習中もずーっとこっち見てたのよ??」
「それは……」

リリーにしっかりと自分の勇士を見て貰いたいから…と伝えても、リリーにはきっと理解出来ないだろうと二人は思った。

「ピーターは??」
「図書室に行くっていってたよ。」
「珍しいわね、ピーターが自分から図書室に行くなんて…」
「…リリー…それはちょっとヒドイよ…」
「ま、ピーターに勉学に励む気があるのならいいんじゃないの??」

そんなものだろうか、とルイは一人思案に耽りながらおもむろに練習場へと視線を戻した。
シリウスがまるで蝶の様にヒラリヒラリと宙を飛ぶ。
箒に乗る事自体が怖い自分には絶対出来ないだろうと思ってしまった。

1年生の時の飛行訓練はとにかく悲惨だった。
ルイが手に取る箒はいつもじゃじゃ馬気質で、ルイが気が弱い事を知ってか知らずか、やたらめったらに振り回された挙げ句、箒から振り落とされた記憶がある。
それ以来、クィディッチの話題はともかくとして、ルイは箒に乗るという事がとても素晴らしいことに思えるようになったのだった。

そんな大仕事……
しかも寮の明暗を左右するクィディッチのチェイサーという大役……

ブラッジャーを避けるシリウスの動きに、目が吸い寄せられた。大きなカーブを描きながらブラッジャーの横をすり抜けた瞬間、シリウスの灰色の瞳がこっちを見た気がした。
途端に何故か顔が火照った。
血行が良くなり赤くなったであろう頬を隠す様にして、ルイは頬を手で覆った。
そしてふと………

左耳に残る、小さなかさぶたに触れてみた。

あれは、シリウスが自分の傷を癒そうとしてくれただけなのだ。獣が仲間の傷を舐める様に、相手の事を思っての行動なのだ。
確かに最初は驚いたが、今になると自分は自意識過剰になり過ぎてはいないかと情けなくなる。
相手にそんな気はないのに、今更一体何を期待すると言うのだろうか??

自問自答を繰り返していたルイの耳に、突然別の黄色い歓声が聞こえた。
驚いて振り返ると、ルイ達のいるスタンド席の反対側に、女子生徒のグループの集まりが小さく見えた。
目を細めてみえたネクタイの色を見る限り、ハッフルパフのグループの様だった。

彼女達はジェームズやシリウスの気を引こうと、しきりに彼等二人の名前を呼んだり、やれ『頑張れ』だの『カッコいい』だの叫んだりしている。

「まぁまぁ、おモテになる事で。」

リリーが裏声で嫌味ったらしく言った。
さっきのジェームズ同様、プクッと頬を膨らませてすねている。
ルイはハラハラしたが、リーマスはクスクスと笑いを堪えきれずにいた。

「この前のぼくらの20分間戦争(どうやらこの間の大乱闘の事らしい。)事件以来、シリウスとジェームズのファンが異様に増えたらしいね。
『ザリスとシリウスが喧嘩したのは、きっと自分を取り合っていた所為なんだ』って期待してる女子も多いみたいだよ??」
「…自意識過剰も良いとこね。」
「同感だね。」
「(リ、リーマスが何か黒いよ…)」

黒いのは元から(シリウス談)という突っ込みはおいといて、ルイはピーターに会いに行くといって練習場を抜け出した。








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