赤:ただいま帰りました。

『お帰りなさ〜い。』


白いエプロンを纏(まと)いながらDOLLは、赤屍の帰りを出迎える。
新婚の赤屍夫妻、その為、赤屍の帰りが待ち度をしくって仕方がない毎日を過ごしているDOLL。
だが、今日に限って親の帰りを待ちわびた子供のように赤屍に駆け寄って行った。


赤:クス・・今日は、良い事でもあったのですか?


DOLLの笑顔に何か察知したのか、首を傾げながらDOLLに問掛けると、赤屍の隣に立ち左腕に抱き付く。
そして、腕に流れる血の鼓動を聞くかのように、寄り添うと…


『はいっ!と〜っても、良い事です♪聞いてくれますか?』

赤:はい。DOLLさんのお話なら、なんでも聞きますよ。

『じゃ、あっちでお話しましょ♪』


赤屍の腕をグイグイと引っ張り"早く、早く"と、言わんばかりに腕を引っ張るDOLL。
そして、リビングのソファーに二人同時に座る。


赤:それで、どのようなお話なのですか?

『・・//ん〜とねっ・・あかぁ…あかっ・・』


「赤?」と自分の名前を言おうとしているのかと少し考えた赤屍。
だが、そんな筈がないと考え直すと"ある言葉"が脳裏に過ぎた。

 
赤:まさか、"赤ちゃん"が出来たのです?

『えっ!?なんで、分かったんですか?』


DOLLが言い掛けていた言葉を赤屍がすんなり当てられた事に驚きを隠せないDOLL。
赤屍は、"やはりvV"と微笑みながら「単なる勘です。」と、口ではそう言い捨てた。


赤:それで何ヶ月になるのですか?

『3ヶ月です。今日、産婦人科に行って分かったんです。』


頬を赤らめ恥ずかしそうに喋るDOLLは、なぜ妊娠したのが分かったのかを赤屍に話した。


『・・あの蔵人、赤ちゃんが出来ちゃって、私の事嫌いになっちゃった?』

赤:いえ。DOLLさんと私の子から、大歓迎ですよ。可愛い子が生まれるといいですね。

『そしたら、4人仲良く幸せに暮らしましょうね。』


それから、月は流れ―…


DOLLは、出産予定日よりも少し早く陣痛が来てしまい、救急車に運ばれた。
そして―……


オギャー!
オギャーー!!

看:DOLLさん、可愛らしい双子の男の子と女の子ですよ。

『はぁっ・・はぁ〜…』


看護婦が生まれたばかりの二人の子供をDOLLと赤屍に渡された。
赤屍の方に女の子、DOLLの方には男の子が渡された二人は、頬擦りしながら顔を見合わせた。


赤:良く頑張りましたね、DOLLさん。

『うん。』

看:後で、色々と測定しますので、それまで一緒にいて良いですよ。

『はい。ありがとうございます。』


看護婦達は、その事を言うと分娩室に二人を残し去っていった。


『はぁ〜、るか・・るり〜。』

赤:るかは、DOLLさんに良く似ていらっしゃいますね。

『るりは、蔵人そっくり。』


産まれたばかり二人の子供を「自分達に良く似ている。」と、二人で声を揃えて言い合った。


赤:大きくなった時が楽しみですね。

『うん♪』


命を受け取った喜び。
産声の甲高い声が聴こえて来る。
誰もが初めて泣いた時間、それを聴いていた人達の喜びの涙と笑顔。
君にもいつか生を受ける日が訪れるといいですね。


ENDー……


2008.10.7
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