私と赤屍さん、じゃなくて‥蔵人との子供が出来ました!
まさか、結婚してすぐに妊娠、出産をするなんて思わなかった。
こんなに順調に幸せになっちゃっていいのかなって思う日もある。
でも、育児に追われる毎日…
可愛い我が子を立派に育てる為!
蔵人さんの為!
育児と家事頑張らなくっちゃ!!!

『頑張るぞ〜…って、意気込んで居たけど…。こんなに育児と家事の両立が難しいなって…思わなかった。』

日々の仕事となってしまった家事と育児に疲れが出てきたのか、やつれたような顔でカーペットを掃除機で掃きながらため息を溢していたDOLL。

『空(そら)の夜泣きもたまにあったりして、家事もなかなか一人では回らないし‥はぁ。子供がいるといないでこんなにも違うなって…子供なって産むもんじゃないわね。って!!!!何を言ってるのDOLL!!こんな可愛い我が子を産んで置きながら居らないとか!!もう、自分の馬鹿!!!』

浅はかな言葉を漏らしたことに後悔したのか、自分の頬を思いっきり叩き目の端に涙を少し浮かばせつつもキリッと気合を入れ直した。

『空の為、蔵人の為!!頑張るって決めたんだからぁあああああああああああ!!!!!!!!!!』

そう大声を張り上げながら掃除や洗濯、皿洗いを終わらせ、空に母乳を与えながら今日の晩ご飯のメニューを考えていた。
母親として奥さんしてとても立派な人になれているというのにそれでも、頑張ろうとするDOLLは、既に立派な母親であり奥さんである。
少し時間が余ったらしく、外に出て散歩をしに行くついでに晩ご飯の材料を買いに出掛けることとなった。
暖かな陽だまりの中、空は、きゃっきゃっと嬉しそうな声を上げそんな声を聞きながらニコニコと微笑みを浮かべながらベビーカーを押し歩く。

『はぁ〜、いい天気v空もそう思うよね?』

ベビーカーに乗っている空に話しかけながら歩いていると目の端に楽しげな家族が目に入り込んできた。
泥だらけになりながらも楽しそうに砂の山を作る子供、楽しそうに子供と遊ぶ父親、その光景を見守る母親…。
とても楽しそうにしている家族をじーっ、と見つめていると陽気に歩いていた足が次第に遅くなり、立ち止まってつい見入っていた。
DOLLは、それの光景を自分たちに置き換え未来の自分たちの姿を見ているようなそんな感覚にされたのか、小さく微笑みを浮かべ再び歩き出した。

『楽しそうな親子だったなぁ。私も空と蔵人と一緒にあんな風に楽しそうなこと出来たらいいな。なって♪空は生まれたばっかりなんだし、さっきの子に追いつくのはまだまだ先だもんね。ふぅ〜…さぁって、私の旦那様は、お仕事頑張ってるかなw』

そんなのんきなことを考えていると後から誰かが近づいてくるのを感じたDOLLは、足を止め後ろを振り向く勇気が出ず硬直したまま動けなかった。
段々と足音が大きくなっていき、DOLLの背後で足音が止まるのが聞こえた。
恐る恐る後ろを振り返るとそこには、黒ずくめのコートとツバの広い帽子を被った赤屍がニッコリと微笑みを浮かべながら立っていた。
見慣れた顔にDOLLは、ふぅ〜と肩の力を抜き微笑み返した。

赤:今、仕事から帰りましたよ、DOLLさん♪

『蔵人、驚かせないでよ。危うく、心臓が止まっちゃうかと思ったわよ。』

赤:それは、申し訳ありませんでした。ところで、これから空を連れてどこに行くのですか?

『夕御飯の買い出し。蔵人も来る?』

赤:荷物持ちですか。いいですよ、お供します♪

『バレちゃいました?』

赤:えぇvさっ、行きましょうか。

赤屍に促され返事を返すと三人一緒に晩ご飯の材料の買い出しにスーパーへと向かった。
買い物が終わるとそのまままっすぐ家に帰り、晩ご飯の用意をし、出来上がると家族三人で食事を摂った。
食事が終わると赤屍は、空を抱き上げソファーに座り絵本の読み聞かせをしたり、おもちゃで遊んだりと立派なお父さん、育メンパパをしていた。
その姿を少し見つめるとDOLLは、休めていた手を動かし食器の後片付けの続きを始めた。

赤:DOLLさん、コーヒー飲みますか。

家事を一通り終わらせたDOLLは、ソファーに座りながらもたれ掛かっていると赤屍が二人分のコーヒーを持ってリビングにやってきた。
空を寝かしつけた後、家事をして疲れ切っているであろうDOLLの為に、少しでも疲れが取れるようなものをとコーヒーを入れてくれたらしい。

『ありがとう、蔵人。‥いただきます。』

赤:美味しいですか?

『うんw砂糖とミルクが効いていて苦くない感じが丁度良いよv』

赤:それは、良かった。

DOLLの隣に腰を下ろし、自分で入れたコーヒーを二口飲むとテーブルに置いた。
DOLLは、暖かなコーヒーを一口飲むと緩んだ顔をし、少しずつ飲みながら飲み干していった。
コーヒーを全部飲み干すとカップをテーブルの上に置き、赤屍の肩に寄り掛かった。

『蔵人‥私、立派な母親になれているかな?』

赤:いきなりどうしたのですか?

『なんだか‥ううん。なんでもない。少し、不安になっただけだから気にしないで。』

小さなため息を溢し、頭をあげて赤屍から離れようとした時、赤屍の手がDOLLの頭をソッと抱き肩に戻させその手で優しく頭を撫でた。
突然のことに驚いたのか、目を大きく見開き赤屍の顔を見つめた。

赤:家事と育児の両立は、DOLLさんにとって初めての経験ですからね。今が大変なのは、分かっているつもりです。DOLLさんは、空にとっても、私にとっても‥立派な母親であり妻にちゃんとなっていますよ。

『…本当に?』

赤:ええ、本当に。DOLLさん…

『蔵ぅ‥んっ…//』

今にも泣き出しそうなDOLLの顔を赤屍は、自分の顔の方へと近づけさせ軽く口づけをし微笑みかけると泣き出しそうな顔がいつの間にか頬を赤らめる顔へと変わっていった。
DOLLは、赤屍の微笑みを見つめているとクスッと笑いながら赤屍の首に腕を回し、深い口づけを交わした。
舌と舌が深く絡み合う度‥二人を快楽の世界へと導かれていた。

『蔵人‥私、立派な母親になる。蔵人の妻として恥じない女になるね。だから、私がもしも挫けそうになっていたら‥私の近くで励ましてくれる?』

赤:ええ、もちろん。貴女が嫌だと言っても‥ずっと傍に居ますよ。

『私がいつ蔵人のことを嫌いになるなんって言ったかしら?それと、空のことも忘れないでよね。』

赤:クスッ‥忘れるわけないじゃないですか。空は、私たち二人の子供なのですから。幸せな家族にします。

『幸せになれるように私たち二人でこの子を見守っていきましょうね、蔵人。』

赤:おやすみなさい、空‥DOLLさん。

空を真ん中にして寄り添い眠る二人の夫婦。
三人とも幸せそうな顔で眠る姿は、愛に溢れた家族であるとどの人も口にするだろう。
どうか、この三人が末永く幸せな家庭でありますように…



END

2014.06.22

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