真っ白な小さな粒が、真っ暗な闇に降り注ぐ。
その中に白く大きな屋敷の壁のところに2つの黒い影がぽつんとあった。
その二つの黒影は、運び屋の二人組だった。
運び屋の二人組は、この白く大きなこの屋敷に忍び込もうとしていた。


『ねぇ、赤屍さん。』

赤:何ですか、DOLL?


DOLLは、少し考え込み小さな口を開くと、赤屍と目を合わせた。


『こっ…この仕事が終わったら…一緒にクリスマス過ごしませんか?!//』


思い切って言ってみたDOLLの顔は、さっきまで白かった肌が仄(ほの)かに赤く染まっているのが、赤屍の目にははっきりと映っていた。
「いいですよ。DOLLからのお誘いなら、大歓迎ですよ♪」そう言って、赤屍は、DOLLに微笑みかけて、視線を白く大きな屋敷の壁に向けた。
警備兵が手薄になる時間になり、二人は屋敷に潜入する。


―……

数時間前、二人の元にある依頼がやって来た。
内容は、「ある物を、運び出して欲しい。」との依頼。
二人は、その依頼を引き受け依頼された場所に行き、潜入。
潜入したのはいいが、DOLLが誤って警報線に引っかかってしまい、屋敷全体に鳴り響いた。

 
『すみません。私、足手まといばかりして…』

赤:大丈夫ですよ。

シャキ――…

赤:…たまには、人を切って置かないと腕が鈍ってしまいますからね。


赤屍がそう言うと、両手の中から赤く光り輝く赤黒い剣を出て来た。


赤:では、早く片付けましょうか、DOLL♪

『はい!』


赤屍の声掛けと同時にDOLLは、忍ばせて置いた拳銃を二つ取り出し準備播但(ばんたん)。
二人は、拳銃とメスで敵を次々と皆殺しにして行く。


『赤屍さん、先に行って下さい。』

バン!

『この後始末は、自分がしくじった事、後は任せて下さい。』


大体の敵は倒しきりDOLLは、赤屍に依頼品の品を持って来るように告げる。


赤:そうですか。では、お願いします。


赤屍は敵一人を倒した後、クライアントの依頼品を取りに走って行った。
赤屍が去った後、その道に敵を通さないようにDOLLはその道を一人で塞ぎ守っていた。
残りは、たったの三人。
赤屍がいなくても倒せる人数だった。


『それじゃ、殺りましょうか?お兄さん達。』


余裕そうな口振りを敵に吐き、敵は三人まとめてDOLLに突進して行く。
が、逆に帰りうちになり三人の敵は、床に崩れ落ちた。

 
『私が女だからって、ナメんじゃないわよ。べぇーーだっ!!…さてと、赤屍さんの後を追わ…』


DOLLは、背中を見せながら赤屍が消えて行った方に2、3本歩いた時、背後から銃声が聞こえた。
その銃声が聞こえて数秒も経たずに弾丸は、DOLLの左腕を掠めた。
掠めた場所を右手で押え付けながら床に座り込みながら、背後にいた敵を睨みつけるDOLL。


「お嬢ちゃん、ナメてんのは君の方だよ。」


敵が持っている武器は、左の手に鉄の棒、右の手に拳銃。


『ッ……クス…』


敵の言葉に思わず笑いが込み上がったのか、DOLLは床から膝を離し立ち上がる。


「ん?何がおかしい?!」

『別にナメてなんかいないわよ。そっちこそ、私をナメないで欲しいんだけど?…さっ、掛かってきなさいよ!』

「ふっ…ふざけんじゃねぇぞ、このアマー!!」


DOLLの言葉に怒り出した敵は、DOLLに拳銃を向けて何発か撃ち付けた。
DOLLは、敵が打ちまくっている弾丸を避けながら左腕を支えて柱の所に逃げ込む。


赤:DOLLさん、大丈夫ですか?


壁に背を付け右側の方を向きながら敵の銃の玉が無くなるのを待っていた時、左側から赤屍の声が聞こえた。


『(赤屍さん!いつの間に?!)‥だっ、大丈夫です。ちょっと、掠めただけですから。』

赤:私が舐めて差し上げましょうか♪

『そっ、そんな事より敵を倒さないとダメですよ、赤屍さん!!』


DOLL達が話していると「出て来い、女!!」と、敵が怒鳴り散らす声が聞こえて来た。
どうやら玉切れになったようだ。


赤:うるさい人ですね。ちょっと待っていて下さいね。

 
DOLLをその場に残し敵のお出迎えをする赤屍。


「ん?なんだ、テメーは?どっから、出て来た。女はどうした!!」

赤:DOLLならここに、いらっしゃいますよ。

「邪魔するのなら、テメーもその女と一緒に地獄に落としてやるよ!!」


敵は弾切になった銃をどこかに投げ捨て、左手に持って居た鉄の棒を大きく振り上げた時…
敵がピクリとも動かなくなった瞬間、敵の背中に"J"の文字が浮き上がって床に倒れ込んだ。


『大丈夫ですか、赤屍さん!』

赤:えぇ、大丈夫ですよ。


DOLLは、赤屍の元に駆け寄り胸を撫で下ろす。


赤:それでは、依頼品をクライアントに渡しに行きましょうか?


赤屍がそう言うといきなり赤屍の両腕が、腰と膝の所に伸びて来てお姫様抱っこにさせられたDOLL。


『なっなっ、何するんですか!?赤屍さん!!下ろして下さい〜!』

赤:貴女は怪我をしていらっしゃる。だから、こうして行けば大丈夫でしょ。でも、そのように言うのなら…
 
『だっ…ダメじゃ、ないですよ//ただ、少し恥ずかしいだけです…//』

赤:クス…かわいいらしいお方だ。


赤屍は、DOLLの唇に軽く触れるだけのキスをした。


『メリークリスマス、蔵人。』

赤:メリークリスマス、DOLL。
END―……


2006.12.25
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