ある一角の静かな神社に夏を告げるイベントが始まった。
この時期になると、華やかに神社を着飾り、神社の手前では沢山の屋台が建ち並ぶ。
色鮮やかな浴衣を着た女性達や色の濃い浴衣を着た男性達そして、小さな子供達もこの時だけは江戸っ子に・・


蛮:くそっ・・女共は、まだ来ないのかよ!!

銀:まぁまぁ。落ち着いてよ、蛮ちゃん。そろそろ来るって。


鳥居の前に5人の男達が待ち合わせをしていました。
GetBackersの美堂蛮とその相棒の天野銀次。
夏祭りに誘って来た女達が一人も来ていない事に蛮の苛立ちは今にも爆発寸前。
蛮の苛立ちを何とか押さえ込んでいた銀次は、脳裏に"早く来てよ‥卑弥呼ちゃん、DOLLちゃん"と、呟いていたに違いない。


花:銀次さんの言う通りです。少しは落ち着いて待つということが出来ないのですか?

蛮:なんだと!もう一回言ってみやがれ、この糸巻き野郎!!


蛮達以外にもやって来ていたのは、元ボルツ四天王・風鳥院絃術使いの風鳥院花月と筧流針術使いの筧十兵衛達、新生ボルツのリーダーMAKUBEXもやって来ていた。


花:何回でも言いますよ。

十:花月、そのぐらいにしといた方がいいんじゃないか。後で面倒な事があったら大変だ。

 
「それもそうだね。」と、花月は、肩の力を抜きさっきまで言い争っていたのが馬鹿らしく思え、顔を背けた。
一方蛮は、力一杯に握り拳を見せ付け「このやっ・・」と、最後まで言い終わらない内に「お待たせ。遅くなって、ごめんなさい。」と、言う声が下から聞こえてきた。


蛮:全くよ〜、遅く何なら電話ぐらいしやがれ。


その場に淡い色の浴衣を着た卑弥呼がやっとの事やって来ました。花月との言い争いと待っていた分の苛立ちを卑弥呼に八つ当たり口調で言ってしまった。
蛮の言葉に少し"イラッ"と来た卑弥呼は、腕を組み「確かに悪かったわ。」と小声で呟いた。


卑:でも、仕方が無いでしょ。そんな時間が無かったんだから。大体、さっき謝ったじゃない!

『まぁまぁ、蛮も卑弥呼も落ち着いて、ねっ?今日は、お祭りなんだから楽しもうよ?』


後から急いでやって来たDOLLと朔羅。
二人の喧嘩に割って入っていったDOLLは、苦笑しながらその場を宥めた。


蛮:・・じゃ、焼きそばとたこ焼き、チョコバナナ買ってくれたら、機嫌を直してやってもいいぜ。

『分かった。じゃ、買いに行こう。』


蛮の機嫌を直すには、食べ物しかないと思ったDOLLは、蛮の腕を取り注文された食べ物を買いに出店へと向かった。


花:僕達も行こうか、十衛兵。

十:そうだな。


蛮達に続き花月達も祭りを楽しもうと賑やかな神社の中に入っていった。


卑:蛮の野郎〜・・何が"焼きそばとたこ焼き買ってくれたら、機嫌を直してやってもいいぜ"よ!ただ喰いたかっただけでしょが―!!あぁ〜〜・・やけ食いしたい気分。朔羅さん、私に付き合ってくれない。


蛮との言い争いによって怒りが頂点に達してしまった卑弥呼は、近くに居た朔羅に声を掛けると朔羅は、ニコッと笑い掛け「いいですよ。」と、返事を返し一緒に夜の祭りへと消えていった。
そして、一部始終を最後まで見ていた銀次とMAKUBEXの二人は…


タレ銀:俺達置いてきぼりだね、MAKUBEX。

M:うん。


ほんの少し話をすると、気まずい空気が漂い銀次は、顔全体から汗を流しながらMAKUBEXを横目で見つめると耐えきれなくなってしまった。


タレ銀:そう言えば、どうしてここに来たの?

M:・・DOLLと二人っきりでお祭りを楽しもうと思ったんだけど…

 
銀次の質問に最後まで答えられずMAKUBEXは、何かを思い出したかのように直ぐ様下を向いてしまった。
かなり落ち込んでいるMAKUBEXを見て元のサイズに戻った銀次は、MAKUBEXの両肩を掴み満面の笑みで顔を覗き込む。


銀:じゃ、俺がDOLLちゃんと二人っきりになれるように、協力するよ!!

M:本当ですか、銀次さん?!

銀:うん!じゃ、作戦会議開始!!

M:うん!!


こうして、DOLLとMAKUBEXの二人きり大作戦が開始された。
それから、10分程で皆と合流した。


蛮:卑弥呼、金貸してくれよ。300円。

卑:はぁ、何であんた何かに300円やらないといけないのよ。お賽銭箱に入れてお願いした方がよっぽどましだわ。

蛮:何だと!!

卑:何よ!!

蛮・卑:んん〜〜!


額をくっ付けながら歩いていた蛮と卑弥呼は、周りの目も気にせずまた喧嘩を続けていた。
一方DOLLと朔羅は、ある飴細工の売っている店の前で足を止めていた。


朔:うわぁ〜、美味しそうな飴細工ですね。

『本当だ。このイルカとか猫凄く綺麗だね♪』

朔:食べるのが勿体無いですわ。

『そうだね。』


二人と一緒に歩いていた花月が…


花:おじさん、このイルカと猫下さい。

屋:はい!合わせて600円だね。

花:…はい。

屋:丁度!・・はいよ、お嬢さん方。


おじさんがイルカと猫の飴を両手に一本づつ取りそれを二人の目の前に一本づつ出した。
驚いたDOLLは「・・花月さん、いいんですか?」心配そうな顔をしながら言うと「はい。」と笑顔で言い返された。
二人は、顔を見合わせ笑顔でおじさんの手にあった飴を受け取ると片手に真っ赤な林檎飴を2つを持って来た十兵衛が帰って来た。


十:花月、あっちに林檎飴が売っていたから2つ買って来たんだが‥食べるか?

花:うん。ありがとう、十衛兵。


真っ赤な林檎飴を十兵衛から貰った花月は、被せてあった袋を取り飴を舐め始めた。
射的、金魚すくい、おみくじ‥沢山の店を見ては遊んでいた。
たった二人を除いては…
卑弥呼と蛮の二人は、火花を散らしながら猛烈なバトルを繰り広げていた。
そんなこんなある程度見回っていると花火が上がる時間が近づいていた。


花:色んな屋台を廻りましたね。

『はい♪』

十:そろそろ、花火が上がるんじゃないか?

花:そうだね。

銀:じゃ、みんなで行こうよ。

十:そうだな、みんなで行くか。

『朔羅、一緒に行こう?』

朔:はい。


朔羅とDOLLが二人手を繋ぎ、花火が綺麗に見える場所に向かって走り出した。


銀:あっ!DOLLちゃん、ちょっと待って。


二人が先に行ってしまうのを見た銀次は、DOLLの名前を呼び二人の足を止めさせた。


『ん?どうしたの、銀ちゃん?』

 
銀次は、急いで二人の元まで駆け寄りその後からMAKUBEXも追いかけて来た。
MAKUBEXは、DOLLと目を合わせ「僕と一緒に見に行かない?」天使のような微笑みで誘った。
MAKUBEXの微笑みに即"OK"の返事を返してしまったDOLL。


銀:朔羅、俺と一緒に行こう。


朔羅の隣に立ち耳打ちをすると、MAKUBEXと立てた作戦内容を話した。


朔:‥はい。じゃ、私達先に行っていますね。


そう言って先に行ってしまった銀次達。
いつの間にか回りには、蛮や卑弥呼、花月、十兵衛も居なくなっていた。


M:DOLL、こっちだよ。

『えっ!?ちょっ…』


DOLLの手を掴み人気の無い森林の中へと消えていた。
2〜3 分くらい林の中を歩いていると周りから鴉の鳴き声が聞こえてきたり、あっちこっちから何か草が擦れ合う音も聞こえてきたのに怯えるDOLLは、「MAKUBEX・・こんな所じゃ花火見れないよ?皆の所で花火見に行こうよ。」こんな怖い場所で見るのは嫌だと思ったDOLLは、涙目で懇願する。
それでもMAKUBEXは、黙々と歩き続けていた。
それから数分経つとMAKUBEXの足が止まりDOLLも釣られるように足を止め180度回転させMAKUBEXは、DOLLの方に体を向けた。


M:僕と二人きりで見たくないの、DOLL?

『えっ・・いや、見たいけど〜…』


悲しそうな目でDOLLを見つめてくるMAKUBEXから視線を逸らした。
「ここじゃ、木が邪魔で見れないよ‥」と口が裂けてもいえないそう思ったDOLLは、首を左右に振りMAKUBXの目を見つめ直した。


M:嫌なの?

『嫌じゃないよ!』


何とか自分の気持ちを教えたいDOLLは、MAKUBEXとの距離をある程度に保とうと後ずさりをさせながら歩く。
大きな木に背中が当たり歩く事が出来なくなった。
その場から逃げようと思ったDOLLは、体を木から離そうとした時、MAKUBEXの両手がDOLLを挟み打ちにした。


『MAKUBEX・・顔、近い…』

M:いいじゃないか。


"フッ"とMAKUBEXの片手がDOLLの後頭部に"ソッ"と手を添え指で髪に絡めさせDOLLの顔を引き寄せると唇が触れ合える距離まで来ると…


M:ねぇ・・キス、してもいい?

 
甘く囁やかれ、頬を仄かに赤らめ上目使いで近すぎて見れないMAKUBEXの顔を覗き込むように見つめる。


『・・嫌って、言ってもするんでしょ。//』

M:うん。良く分かったね。


さっきまで悲しそうな顔をしていた顔が今では大人っぽい顔に変わる。
その笑顔にDOLLの顔は、徐々に元の顔色に戻って行き「だてに、MAKUBEXの彼女やっていないもん。」と、少し恥らいながらも言う。
すると"ニコッ"とMAKUBEXが微笑んだ次の瞬間、MAKUBEXの甘く軽いキスをDOLLの唇に降り注ぐ。


M:そう言う所も、好きだよ。


月明かりでMAKUBEXの顔を青白く照らしだす。
DOLLは、MAKUBEXに魅力されて行った。

『ン…はぁ、ぅん…MAKUBE、X・・』

M:どうしたの?苦しかった?

『ちょっと・・だけ…』


4〜5分位息が切れるまでキスをし続けていた。


『何するの?!』

M:決まってるでしょ。ここでやるんだよ♪


激しくキスをし終わるとDOLLは、肩で深呼吸を繰り返す。
そして、MAKUBEXは、マイペースに自分がやりたいようにDOLLの胸元の襟元を掴む。


『きゃっ!』


水練の花と波紋が散らばった藍色の浴衣の上半身だけを剥ぎ取られると、MAKUBEXは"ニヤッ"と笑う。


M:僕とヤル為に下着着けて来なかったの?

『違う・・//』


咄嗟(とっさ)に両腕で胸を隠すと、真っ赤になった自分の顔を見られないように下を向き否定の言葉を口に出す。
すると、隠していた腕を"ソッ"と解きMAKUBEXがそれを両手で包み込む。
「違わないよ。」と微笑みゆっくりとDOLLの胸を揉み出した。


M:こんなに尖らせて・・厭らしいね、DOLLは。

『ん・・//』

M:あんまり声を出さない方がいいよ。


片手を降ろし左手でDOLLの片方の胸を軽く揉んだり、激しく揉んだりしながら首筋を舌で舐め上げ、もう片方の手でDOLLの秘部に2本の指が入り込んで行った。
声が漏れないように両手で木にしがみ付き耐え忍んでいた。
だが、いつも以上に感じてしまっているDOLLは、微かに喘ぎ声が漏らしていた。


『・・分かってる、ンッ…勝手に声が出てくるんだもん。ぃぁ、ぁ・・』

M:ハンカチがあるから、それでも口に中に入れて置くかい?


片方の手をDOLLの秘部から引き抜き懐からハンカチを取り出した。
一瞬、DOLLの目に小悪魔が映り込んだような…
所変わり、蛮達一行は…


蛮:?・・おい。

花:何ですか?

蛮:DOLLとパソコンオタクが見当たんねぇんだが、知らねぇか?

 
周りを見渡しながら二人を探していた蛮は、近くにいた花月に二人の事を聞いた。
蛮の声掛けにそこにいた卑弥呼と十兵衛も周りを見渡し、DOLLとMAKUBEXがいない事に気づいた。
後、銀次と朔羅も‥


十:迷子にでもなったのだろうか?俺が二人を探して来る。皆は、先に行っててくれ。

花:僕も行くよ、十兵衛。


来た道を戻ろうとしていた十兵衛の後を追うように花月も着いて行った。
MAKUBEX達と別れ蛮達の後を追って来た銀次と朔羅は、十兵衛と花月に出会う。
「何処に行くの?」きょとんとした顔をしながら銀次が聞くと花月が「MAKUBEXとDOLLを探してきます。」と、走り過ぎようとした時、銀次は慌てて二人を呼び止めた。


銀:花づっちゃん、十兵衛!ちょっと待った!

花:…どうかしましたか、銀次さん?


銀次に呼び止められた二人は、数歩離れた場所で止まる。


銀:MAKUBEX達なら違う所から見るからって言ってたよ。

十:そうなのか。

銀:うっ、うん。だから、早く行かないと花火始まっちゃうよ。ねっ、朔羅も早く見たいよね?


慌てて朔羅に助け舟を出した銀次に朔羅は、「そうですよ。二人共行きましょう。」と、天使のような微笑みに花月と十兵衛は、顔を見合わせ渋々蛮達の元へ戻って行った。


M:DOLL、大丈夫?


DOLLの中にMAKUBEX自身が入り込みDOLLは、木と向かい合わせにしがみ付かせMAKUBEXが持っていたハンカチを咥えた状態で激しく腰を動打ち付け始めた。
人に見つかってしまうかもしれないというそんな状態に二人は、今までにない快楽に溺れ限界が近くなって行った。


M:(限界・・だ)DOLL、キスしよぅ…

『・・はぁ〜・・ん…』


向きを変えさせられMAKUBEXと向かい合わせになりMAKUBEXに抱き付くと深いキスをしながら‥二人は、果てた。
MAKUBEXの熱い白濁がDOLLの中に注ぎ込まれると同時にDOLLは、軽い眠りに落ちてしまった。

バン!!パチパチパチ…

『ん、ン〜・・MAKUBEX。』


片目を擦りながら目の前に色鮮やかに中に舞う花火を見たDOLL言葉を失う。
ただ、綺麗としか言い表せられなかった。
ヤッた後の後処理はMAKUBEXがやってくれたのだろうと思い暫(しばら)く薄着でいたDOLLは、寒くなり両腕を摩っているとDOLLの肩にMAKUBEXの手が掛かり自分の方に引き寄せた。
その温かさに体を預け夜空に散りばる花火を眺めた。


M:花火始まった所だよ。
 
ひゅ〜〜〜・・ドン!!パチパチパチ…

ひゅ〜〜〜・・ドン!!パチパチパチ…


みんなと一緒に花火を見る事が出来なかった。
「今まで見て来た花火の中で一番綺麗だ。」と、地面に座り肩を寄り添いながら花火を眺めていた二人。
DOLLが「綺麗。」と一言言うとMAKUBEXは、DOLLの方を向いた。


M:・・DOLLの方がもっと綺麗だよ。

チュッ・・


花火に魅入られていたDOLLの頬にキスを落としたMAKUBEX。


『もう、知ってる。』

M:来年も来ようか?

『うん。』


夏の一大イベントの一つ、夏祭り。
夜空に散りばめられ華やかな色合いを帯びた一輪の花々は、人々を魅入させていく花火。
それは、昔から変わらず色鮮やかに舞い踊り続け人々に、呪文を掛けるかのように歩みを次々と止めて行く。
花火に込められた思いや人の手によって作られる最高に良い花火を見て貰える何とも言えない喜びと嬉しさ。

あなたはこの夏の花火に、もしも魔法があったとしたらどんな事をお願いしますか?


ENDー……

2009.3.1 子猫様へ―…
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