?:DOLLさん、DOLLさん。起きて下さい。 鳥達が朝の挨拶をしているのが聞こえてくるが、何やら小さい子供の声が聞こえて来るではないか。 『ん…ん〜、今いいと頃だったのに〜‥誰、私を起こしたの?』 ゆっくりと体を起こしDOLLは、揺さぶっていた人を睨んだ。 そこに居たのは、ぶかぶかの黒いコートを着た小さな男の子だった。 DOLL と赤屍は、結婚しているがまだ子供を授かっていないので「君、どこから入って来たのかな?人のお家に入るのは、不法侵入って言って…」と、少し難しい言葉を使うDOLLに男の子は、「何を、おっしゃってるのですか?私ですよ、赤屍蔵人です。」と、微笑んだ。 正しく、その笑みは赤屍の顔だった。 『ん〜…あ――!!赤屍さん!?』 赤:えぇ。やっと理解してくれましたか。 小さな子供のわりに紳士的なところもまさに、赤屍。 寝起きの為DOLLの頭は、"なんで赤屍さんが小さくなってんの?"と、ぐるぐると目を回すDOLLを「まずは、落ち着いて下さい。」と、DOLLを落ち着かせるチビ屍。 赤:なぜ、こんな体になったかなんですが‥朝起きたら体が縮まっていたしか、言えませんね。 ピンポ〜ン♪ 『?…こんな朝から、誰だろう?』 DOLLが立ち上がり玄関に向かおうとした時「待って下さい。」と、チビ屍がDOLLの動きを止める。 赤:私が、見てきますので、DOLLさんは着替えてて下さい。 そう言いチビ屍は、DOLLを残し部屋を後にした。 1階に下り玄関前に来たチビ屍は、静かに玄関のドアを開けるとそこに居たのは… 鏡:どうだった?僕の薬の…クス♪バッチリ効いたみたいだね。 赤:薬? 鏡:薬って言われても分からないか。ほら、昨日僕の実験室でー… 昨日―…… 赤:鏡君。私は、仕事があるので、そろそろ帰らせてもらいたいのですが。 緑色の液体が入った試験管を振りなら"仕事に遅れると卑弥呼さんがうるさいですからね。"と、嫌な顔をしながら試験管を元の場所に戻した。 白衣姿で何やら作っている鏡は、「もう、ちょっと待ってよ。」と、危なげな実験をしていた。 赤:ん〜… 仕方ないと怒られるのを覚悟でもう少しだけ鏡の実験に付き合うことにした赤屍は、近くにあった椅子に座りメスを研ぎ始める。 すると、鏡が一生懸命作っていた薬がやっと出来き上がり不適な笑みをしながら"早速、赤屍で試してみようと♪"と、楽しげに笑っていた。 鏡:ジャッカル。珈琲のお替り欲しいかい? メスの手入れをしている赤屍の元に自分のマグカップを持ちやって来た鏡。 メスを研ぎながら赤屍は、「実験は、終わったのですか?」と、刃こぼれがないか光に当てしながら聞き返し「いいや。でも、休憩も必要だろ♪」と、微笑まれ仕方なく珈琲のおかわりを貰うことにした。 自分のマグカップと赤屍のマグカップを持って珈琲を注ぎに行く鏡は、カップの中に出来たばかりの薬を入れ… 鏡:お待たせ。はい、珈琲♪ 赤:ありがとうございます。…ゴクッ‥ん?先程飲んだ珈琲と少し味が変わっているような? マグカップの中身を覗き込み何か盛られているんじゃないかそう思った赤屍に「そうかな〜、ゴクッ…全然変わらないけどよ。」と、飲んで感想を述べる鏡を見てもう一口飲み直し「そろそろ行かなければ。では、私は帰れます。ご馳走様でした。」と、言い残し帰っていった。 鏡:僕の実験に付き合ってくれて、ありがとうね♪…良い実験台になってよ、ジャッカル… ――……‥ 昨日の出来事を思い返したチビ屍は、「あの時の珈琲に盛ったのですか?」と、恐い顔をしながら「ピンポン。大正解♪」と、満面の笑みで拍手をする鏡。 『赤屍さん、どうしたんですか?…あ!鏡さん、じゃないですか。』 着替えを終えたDOLLがチビ屍の元にやって来て「鏡さん。上がっていきますか?今から朝食を作るんですけど、食べていきます?」と、家に招き入れようとしているDOLLにチビ屍は、唖然とする。 鏡:いいのかい? 『私は、いいんですが〜‥赤屍さんが?』 いきなり、振られたチビ屍は、複雑な気持ちでいたのだったがDOLLの言うことは良く聞くチビ屍、"コク"と頷き鏡を家に招き入れる事にした。 鏡:じゃ、お邪魔します。 『‥どうしたんですか、赤屍さんも行きましょう?』 その場に硬直状態で立っていたチビ屍は、「いえ。大丈夫ですよ。」と、顔を上げ微笑み返した。 『そうですか?』 鏡:何やっているの、DOLL〜♪ リビングの方から鏡の呼び声が聞こえ「行きましょう、DOLLさん。」と、DOLLの手を取り浮かない顔をしているDOLLを連れ二人はリビングへと向かった。 それから3人は、DOLLが作った朝食を食べ始めた。 鏡:また、腕上げたね〜♪凄く、おいしいよ。 『そうですか?なんか、嬉しいです。//』 赤:…… 『赤屍さんどうしたんですか?さっきから、黙り込んで?』 黙り込んでいるチビ屍の顔を覗き込んだDOLLは、体調でも悪いのか聞いてみたが返事は無かった。 その代わり、小さな声で「‥面白くありませんね…」と、呟いていた。 『え?何が面白く‥』 赤:私のDOLLさんが、欲しいのですか?鏡君… 『え?』 鏡:そうだね〜…かなり、欲しい。でも、今の君にはDOLLを守ることが出来ないんじゃないかな♪ 赤:それは、どういう意味ですか? ニヤリと笑い「君の武器、出せないよ。」と、残っていた食べ物を口にほおばる鏡を見てチビ屍は、試しにメスを出してみた。 が、何度意識してもメスは出てこなかった。 赤:何の為に、私をこんな目に? 鏡:もちろん… 『‥きゃっ!!』 呆然と二人の話し合いを聞いていたDOLLに近づきDOLL軽々と持ち上げる鏡。 鏡:DOLLを頂いて行くのさ。 鏡に抱き上げらやっと意識が戻ったDOLLは、「ちょっ、何するんですか!離して下さい〜よ〜!!」と、抵抗を始めた。 チビ屍は、椅子から下りDOLL達の元に駆け寄ろうとした時「じゃ、無限城で待っているよ…」と、DOLLを連れ去っていった。 こうして、DOLL争奪戦の幕が開けられた。 鏡の後を追いチビ屍は、無限城のある場所で鏡と睨み合う事になった。 鏡:よく来たね。褒めて上げるよ。 赤:DOLLさんは何処ですか… 鏡:まあまあ‥戦かって勝ったらDOLLの居場所を教えて上げるよ。じゃ、何して闘う? 赤:そちらが、決めて下さい。 鏡:ん〜‥一発勝負の‥ジャンケンをしようか? 赤:……本気で言っているのですか?鏡君・・ ついに頭が壊れたのだろうかと渋い顔で鏡に聞き返しす。 鏡:本気も本気。さぁ、勝負だDr.ジャッカル。 赤:…毒キノコでも食べたのでしょうか?‥いいでしょう。その勝負受けます。 ≪最初はグー!ジャンケンポン!!≫ この勝負に勝つのは、チビ屍か?鏡か? 結末は後ほど♪ 無限城のとある部屋―…… 『なんで、私がこんなめに会わないといけないのよ〜!!‥赤屍さん…』 縄で手足を拘束され助けを呼ぶが誰も助けに来てくれない事にDOLLは、半泣きしていた時だった。 扉が細切れに崩れ落ちていったのだ。 赤:無事でしたか、DOLLさん! 『赤屍さん!』 チビ屍と言うか元に戻った赤屍がDOLLを助け出しにやって来た。 DOLLの元に駆け寄り「大丈夫ですか?お怪我は?」と、怪我がない事伝えると赤屍はホッと胸を撫で下ろした。 『それより、鏡さんはどうなったんですか?』 縄を切ってくれている赤屍に鏡の生存(生きているか?死んでいるのか?)を聞いて来たDOLLに「彼なら、大丈夫でしょう。半分死にかけていると思いますけど‥Vv」と最後の言葉は聞こえないように言うと頭にクエスチョンを浮かべるDOLLだった。 赤:さっ、帰りましょうかVv 『はい。そういえば、どうやって戻ったんですか?』 赤:勝負が終わった後に時間が切れたみたいです。それから、メスでちょっと… 楽しんだ赤屍の笑みは、今まで見た笑顔の中で一番輝いていたに違いない。 『赤屍さん、助けに来てくれてありがとうございます。一瞬、王子様が来たかと、思いました。』 少し恥ずかしそうに頬をかくDOLLにソッと口付けをした。 上目使いで「いきなりは、だめです。//」と、頬を仄かに染めながら赤屍に言うDOLL。 赤:可愛らしいvV今ここで、食べてしまいたい♪ 『だめです!』 赤:はいvV 『あぁ。もっとちっちゃかった赤屍さんを見たかったな?』 赤:では、また鏡君に頼んで、あの薬を作ってもらいましょう。‥今度は、DOLLさんの為に… 最後に何を言ったのか聞き返すと「いえ。何でもありませんよ。さぁ、鏡君が来ない内に‥」と、話をはぐらかされ腑に落ちないDOLL。 『‥赤屍さん、子供欲しくないですか?』 赤:‥はい?DOLLさんは、子供が欲しいのですか? 『はい♪』 赤:では、今から‥ 『家でして下さい!!』 二人は、急いで家に帰り子供作りに専念したとさ。 その頃、鏡は―…… 鏡:ッ―… 朔:我慢して下さい。 身体中に切り傷だらけの鏡を手当てしている朔羅とパソコンのキーボーを叩いているMAKUBEX。 M:全く、君も懲(こ)りないね。 鏡:だって、DOLLが欲しいんだもん。もっと近くで観察してみたかったんだよ。 拗ねながらMAKUBEXに言う鏡。 「だからって、あんな薬作って何が出来たんだい?」と、質問され言葉が詰まってしまった。 M:あれをきっかけに、子供作る気だよ。絶対… 鏡:クソッ!いたた… 朔:"ジッ"としていて下さい。 鏡:グスン……(泣) ジャンジャン☆ END―…… 2009.4.2 マリ様へ―… |