バン!!

HONKIーTONKUのドアが勢いよく開かれた。
開いたのは赤屍の彼女、DOLLだった。


『夏実ちゃ〜〜ん!!』


DOLLは泣きながら夏実の元に駆け寄り、夏実に抱き付いた。
まるで、お母さんの元に戻れた子供のように泣きじゃくれていた。
そして、夏美から離れ用としなかった。


夏:どうしたんですか、DOLLさん?

『夏実ちゃ〜ん。私の話、聞いてくれる〜ぅ…』


綺麗な顔が涙と鼻水で、汚れてしまっているそんな顔で、夏美の顔を見るDOLL。
力の入っていた肩を下ろした夏美は、DOLLの頭をポンポンと軽く叩く。


夏:はい。この体勢も何ですから椅子にでも座りましょう。

『うん…』


やっと夏美から離れたDOLLは、夏美に言われた通りに椅子に座る。
そして、夏美もDOLLの隣に座る。


夏:それで、何があったんですか?


DOLLの顔を覗き込むように夏美は、DOLLに問い掛ける。
顔が少し下げていたのが、またさらに下がってしまったDOLL。
すると、重っ苦しかったDOLLの口が少し開らいた。

 
『蔵人と喧嘩してきちゃったの‥』

夏:えぇ――!!どうして、喧嘩したんですか?

『それが…私がねっ、銀ちゃんや花月くん、十兵衛さん…男の人と居る所を見ていたらしく、家に帰っては何回も抱かれて男の人と話のも、居るのもダメ。お仕置きのように抱かれるの…』


重っ苦しい溜め息をまた吐き出しながら、夏美に話しかける。
当の夏美は、驚きを隠しきれない顔をしていた。
そして、DOLLの悩みを理解しようと頑張ってDOLLの話聞き漏らさぬようにしていた。


夏:そうなんですか〜。赤屍さんって、独占欲が強い人ですからね〜。


DOLLは、チラリと夏美の方を見てはまた、話の続きを話す。


『それで、今日…"他の人と話してもいいじゃない!!男の人と話ししてもダメ!居るのもダメ!…私は、蔵人のペットじゃないのよ!!…もう、蔵人なんて‥大嫌い!!"って、言って出て来たの。』


DOLLの口調が、まるで、その時話し合っていたかのように話していた。
夏美は、DOLLが話しているのを聞いているだけだった。


夏:赤屍さんは、何も言わなかったんですか?

『黙って、私の話を聞いていたよ。』


なぜか、話すことが無くなってしまった二人。
そしたら、波児が二人の為に作っていたコーヒーを二人に渡す。


波:ま、コーヒーでも飲むかい?

『はい。…ありがとうございます。』

波:はい。‥夏実ちゃんも…

夏:ありがとうございます、マスター。


波児が作ってくれたコーヒーは、温かく少し苦く、それが大人の味だらか仕方がない。
コーヒーを少し飲み、机の上にそっと戻して、コーヒーを見つめる。
すると、隣にいた夏美が何か思い出したみたいに、口からコーヒーカップを離して、机の上に戻した。


夏:DOLLさん。トランプでもやりません?マスターも一緒に♪

『やる♪』

波:じゃ、俺もやろうかな。


コーヒーを見つめていたDOLLが一瞬で、夏美の言葉に反応して満面の笑みで回答をする。

 
夏美は、ニコニコしながら自分の部屋にあるトランプを取りに行った。
夏美がいなくなったのを確認し、元の体制に戻る。
戻るなり浮かない顔していたDOLL。


波:まだ、悩んでいるのかい。


煙草を口に加えて火を付けて、DOLLに話しかけて来た波児。
DOLLは、コーヒーカップを持ちまた一口、コーヒーを喉に流す込むと口からコーヒーカップを離して飲むのを止めて、机の上に戻す。


『はい。今頃、蔵人何して居るのかな〜って。』


心配そうな顔で、コーヒーを見つめる。
赤屍の顔を思い出しながら、見つめているのだろうか。
すると、波児は、頭を掻きながらDOLLに微笑みかけるかのように、笑いかける。


波:意外と近くに居たりしてなっ。

『そんなまさか、居るわけありませんよ。』


苦笑ぎみに笑いながら、話しを返すDOLL。
波児も笑いながら、椅子に腰をかけた。
さっきまで、暗い空気が漂っていたのが、一気に明るくなった。


波:そうだなっ。居るわけ………


椅子に腰をかけて、DOLLの顔を見ようとした次の瞬間。
DOLLの後ろに黒いコートを着た、背の高い男性が立っていた。
その男性を見ながら、波児は、口に加えていた煙草を床に落としてしまった。
そんな、波児に疑問に思い、何が合ったのか聞いてみる。


『どうしたんですか?私の後に何か居ますか?』

波:あっ‥あか!!


波児は、それ以上何も言わずただ、顔を真っ青にさせてガタガタ震えていた。
DOLLは、首を捻りながら考えた。


『あか?……!!(まさか?!)』


DOLLの背後に立っていた男性は、DOLLの両肩に手を乗せて、後ろから男性の顔が出てきて、DOLLの顔を覗き込んで来た。


赤:やはりここに居たんですね、DOLL♪

『蔵人!!なんで、ここに!?』


その男性は、DOLLの彼氏の赤屍蔵人だった。
「なぜ、ここの場所がわかったの!!」って、顔で驚きの顔を隠せないDOLLだった。


赤:DOLLが行くとしたら、ここかと思いましてね。‥さっ、帰りましょう。

『いや!!私は、帰らない!!』


赤屍の手を払い退けて、椅子から立ち上がり椅子の隣に立ち、赤屍の方を見て怒鳴りつけた。
赤屍は、呆れた顔をしながら、頭を左右に揺らす。


赤:まだ、あんな事で怒って居るのですか?

『そうよ!蔵人が謝るまで、帰らないんだから!!』


腕を組みながら、あらぬ方向を見つめるDOLL。
赤屍は、少し黙ったかと思えば、波児に話かけた。


赤:そうですか。…マスター、ちょっとだけ、DOLLと二人きりにさせて頂けますか。

波:どうぞ。

赤:ありがとうございます。……


  
『……また、お仕置きするの。』


波児が、居なくなったのを確認してDOLLは、横を向いたまま目を床に向ける。
二人だけになったと言うことは、「抱かれる」と、DOLLは思っていた。
が、赤屍は、何も仕掛けて来なかった。


赤:………

『するのなら、早くやってよ!‥大体、何しに来たのよ!!』


赤屍は、ただ黙っているだけだった。
また、DOLLと二人で喧嘩をしていた時みたいに…
ただ、聞いているだけ…


赤:………

『黙ってないでないで、何か言ったらどうなの!!』

赤:………

『もういい…蔵人なんか、嫌い…もう二度と会わない。さよう…』


怒っているのか、泣いているのか、どっちなのか分からないが、そんな言葉を残して立ち去ろうとしていたDOLLだった。
が、赤屍にDOLLの左腕を掴み取られた、かっと思えば、腕を引っ張られ赤屍の胸の方に抱き寄せられた。
そして、強く抱き絞められた。


赤:……行かないで下さい、DOLL。私のそばに居て下さい。

『‥もう、知らない…蔵人なんか…ヒクッ…』

赤:‥私があんなのことをしていたのは、私に笑顔を見せてくれなくなったDOLLが、他の男性と笑っているのに嫉妬していたのです。


『そんなことで…//』


赤屍の腕の中で泣くのを止めると、赤屍の心臓の鼓動が聞こえそうだった。


赤:そっ、そんな事で、ですよ。私は、独占欲の強い子供ですから。

『聞いていたの…蔵人‥//』

赤:はい♪


一部始終をHONKIーTONKUの外の窓ガラスから、聞き耳を立てていた。
なんか、赤屍らしくないが…

すると、波児と夏美は、DOLL達の姿を暖かい目で見守ってた。
ドアの隙間から…


夏:なんか、いいムードになりましたね。

波:そうみたいだな。

赤:もう、出て来ていいですよ。


DOLLに抱きついたまま、波児達のことを呼び出した。
そして、やっと解放されたみたいに、ドアを開けてDOLL達の居るところに戻った。


波:…二人共、俺が入れたコーヒー飲むかい?

『私は、まだ残っているので、いいです♪』

赤:私は、いただきます。


二人は、抱き合っていたのを止めて、カウンターの席に座って波児の入れてくれたコーヒーを赤屍は貰う。
二人同時にコーヒーを飲むと、DOLLが先に口から離した。


『蔵人、もうあんな事の繰り返しはしないでよ。』

赤:はい。‥それでは、約束のキスをしましょうか?


  
『ここで!?』

赤:クスッ…冗談ですよ。


赤屍は、冗談半分でキスを値だったが、DOLLの驚いた顔があまりにも、面白く冗談だと言うことを白状していました。


『……蔵人…』

チュッ♪


赤屍は、DOLLに呼ばれて、DOLLの方を見ると不意打ちのキスをして来て、赤屍の唇に触れるだけのキスをした。
もちろん、キスしている二人を見て波児達は、顔を赤く染めていた。
目の前でやられたら、誰だって赤くなるよね。


『約束だからね。‥ちゃっ、ちゃんと守ってよ!//』

赤:…クスッVvやはり、可愛らしいお方だ。

『もう!!//』

チュッ♪


暖かい物体が、DOLLの頬に触れた。
その物体は、赤屍の唇だった。
さっきの、不意打ちキスのお返しみたいだった。
DOLLの顔が、一気に赤く上昇した。


赤:ちゃんとお守りしますよ。DOLLの為なら……


そんな二人を見て、どこか羨ましい気もする波児と夏美だった。
当の本人達は、さっきまでの争いが嘘のようだった。
その後、二人は仲良く帰ったそうな。


END―……

2007.11.22 十夜様へ―……
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