赤:DOLLさん。少し宜しいでしょうか?


声を掛けて来たのは、人を切り刻むのが趣味の運び屋の赤屍蔵人だった。


『あっ‥はい。何ですか?』


テーブルに飲み掛けのジュースを置き赤屍の顔を覗き見ると、腰を曲げDOLLの耳元に顔を寄せ耳打ちをする。


赤:ここでは‥もう少し静かな場所でお話をしましょう。

『‥じゃ、私の部屋で話しますか?』


少し考える素振りを見せてから立ち上がると、赤屍は"ニコッリ"と、笑い返事を返す。
明かりの灯る廊下を歩いていると、ある一室の部屋の前に辿り着ついた。
そして、二人は中へと入っていった。
綺綺麗に整理された部屋の中は、女性らしい小物やぬいぐるみ、思い出の写真なんかが飾られている。


『少し汚いですが‥』

赤:いえ、とても綺麗に片付けられていますよ。

『//‥それで、あの〜…話ってなっ―…』


本題に入り直そうと話しかけるが、赤屍の人差し指がDOLLの口を塞ぐ。


赤:目を‥閉じてもらえますか?

『えっ、なんっ…こぉですか?』

赤:そう、そのままでいて下さいね。………ゆっくりと目を開けて下さい。

 
瞼を僅(わずか)に震わせゆっくりと目を開ける。
さっきと何ら変わりない景色に何で目を瞑(つむ)らさせたのだろうと考える。
悩んでいる傍ら"クスクス"と、笑う赤屍に少し"イラッ"と、来たDOLL。
頬を膨らませそっぽを向くと胸元に"キラッ"と目の片隅に光る物が見えた。


『わぁ〜、綺麗♪でも、私何にも着けてなかったような?‥まさか?!』


何かに打たれたかのように顔を上げ赤屍を見ると、"ニコッ"と微笑みながら頷いた。
DOLLの胸元に輝く小さなハート型の輪に2つのピンク色のダイヤが飾られていた。


赤:気に入って頂けましたか?

『はい。…でも、これ〜‥』

赤:私からのクリスマスプレゼントです。

『ありがとうございます。あっ!私も何かお返ししないとですよね。赤屍さん、何が欲しいものとかありますか?』


自分が出来ることなら何かしようと考えていたDOLL。
すると、"ニコッ"と笑い欲しいものが最初からあったのか即座に答えた。


赤:では、DOLLさんを貰ってもよろしいでしょうか♪

『ふ〜ん、私なんかでよければ‥って!何でやねん!!』

 
ノリツッコミを咬(か)ましてしまったDOLL。
切れのあるDOLLのノリツッコミに赤屍は、怯(ひる)むどころか悲しげな捨て猫のような顔をしてDOLLを見つめた。


赤:ダメ、でしょうか?

『いえいえ。‥ただ、びっくりしちゃっただけです。//』


我に返り頬を染め恥らう。
今まで、この思いをどう伝えようか考えていたDOLL。
そんな時、赤屍が先に告げてくれた。
DOLLの思いは既に知っていた赤屍は、知らん顔をしながら告白をしてくれるのを待っていた。


赤:分かっていましたよ、貴女の気持ちは‥私の事が好きだと…


腰に腕を回しDOLLを引き寄せ、顎を"クイッ"と、持ち上げ目を合わせる。
長い時間見つめ合い、頬を染めるDOLLの口は、何かを求めるかのように空いていた。
すると、赤屍は"ソッ"と口付けを交わした。


赤:私の事、好きですか?


天使の笑み
貴方の笑みの裏には何が隠れているのですか
何人の女性を溺れさせたのですか
その笑みで‥
私もその中の一人ですよね
でも 貴方が私の事を見ていてくれるのなら‥
貴方の事を一生愛し続いける事を誓います


END―……
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