蛮:DOLL。


声を掛けて来たのは、奪還屋の美堂蛮。


『何か用?』


一言そう告げると蛮は、無表情で人差し指をDOLLに向け"クイッ、クイッ"と指を動かす。


蛮:‥ちょっと、付き合え。

『うっ、うん。』


蛮に誘われるがまま蛮の後を追うDOLL。
蛮に着いていくと客間へと辿り着き中へと入っていった。


『蛮、何か私にようがあるの?』


部屋の電気を付けると蛮は、DOLLの目の前に立って愛し気な瞳でDOLLの髪に触れる。
そして、DOLLの長い髪にキスをした。


蛮:お前に飛びっきりのプレゼントをやろうと思ってよ。

『プレゼント?でも、さっき無いって‥』

蛮:金なんていらねぇ物だ。


蛮の瞳に呑まれDOLLは、蛮の顔を見つめる。
すると、蛮は一歩DOLLに歩み寄り優しくDOLLを抱きしめた。


蛮:そのプレゼントは‥俺だ。俺を貰ってくれるか?本当は、ネックレスとか指輪を用意したかったんだけどよ…なんて、嬉しくねぇよなっ、こんなプレゼン―…


苦笑しながらDOLLの側を離れようとした時、DOLLの腕が蛮の腰に巻かれ蛮を離そうとしなかった。

 
蛮:DOLL‥?

『私を放さないで!!その手で私をちゃんと‥蛮、私は好きだよ。蛮の事‥好き…だから……』


泣きたくないのに涙が出てくる。
私は、蛮の事が好き‥
蛮の何もかも‥全てが…
お金なんか私が働いていけばいいだけだもん。
だから、今は貴方の腕の中で泣かせて‥


蛮:DOLL‥泣くんじゃねぇよ。俺が惚れた女なんだ。お前の笑顔は、世界一可愛い‥だからよ、俺の前では笑顔でいろ。


DOLLの瞳から生まれ出る涙を両手の親指で拭い去ると額にキスを落とし、DOLLを抱きしめ直した。


『うん。‥でも、たまには涙を流してもいいよね…』

蛮:あぁ。俺の腕の中でな…


家の外では ゆっくりと小さな白い結晶が落ちている
最初は 直ぐに消えてしまうけど
それが段々と積み重なり 雪が積もる
貴方は 知らないかもしれない
小さな結晶の魅力に取り付かれた
少女の事を…


END―……
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