オ:今日も一日頑張って、稼いで下さい。働き振りでお金が決まるからな。

全:はい!!


とある、ホストクラブ。
今日は、年に一度のクリスマスイベント。
そのホストクラブにある一人の女性が男性の格好をしながら働いていた。


『よしっ!今日も頑張るか〜。』


気合い十分で男っぽいこの人物は、このクラブのNo.3DOLL。
友達に無理矢理この店に連れられ、数百万くらいになるまで飲み続けた。
友達の代わりに連帯保証人としてDOLLが働いて返す事になった。
ある人物からの指名があったせいでDOLLはここで働くことになったのだ。


鏡:やあ、裟維ちゃん♪気合い十分だね。


DOLLを指名したその人物は、この店のNo.1ホスト鏡形而。
DOLLの隣に立ちにこやかに微笑みかけていた。


『なんだよ。俺、忙しいだけど。』

鏡:ふ〜ん、そんな冷たい事言わうんだ〜。悲しくなっちゃうな、裟維ちゃん。

『ここで゙ちゃん゙付けは、やめろって言ってるだろが!!』


怒った顔をしながら腕を組むDOLL。 
鏡:ごめん、ごめん。で、この後、空いてる?一緒にクリスマス過ごさない。二人で…♪

『はぁ〜?なんで、俺とお前でクリスマスを一緒に過ごさないといけないんだよ。俺は、一人で過ごすのが一番好きなんだ。そう言う事だから、じゃあな…』


鏡にそう告げて自分の持ち場に向かうDOLL。
にぎやかになって来たホストクラブは、女だと知らないお客がDOLLを指名して来る。
DOLLは、そんな女性達に引っ張りだこの一日を過ごした。
そして、長かったクリスマスイベントがようやく終わり家に帰る事が出来たDOLL。


『ただいま〜、チユ、チェコ。』

チユ:ニャー♪

チェコ:ワンワン♪


DOLLが飼っている猫と犬がDOLLの帰りを待っていてくれたのか、玄関のドアの前で出迎えた。


『腹減ってたろ〜?ごめんな〜。今、飯やっから待ってな。』


二匹の動物を抱きしめながら、台所に置いてある猫用の餌と犬用の餌を二の皿に別々に分け、おいしそうに食べる二匹。
DOLLは、ホットココアを飲みながら椅子に座り見て頬吊りしていた。
すると、玄関のチャイムが鳴った。


『…こんな時間に、誰だ?』


不思議に思いながらも、玄関のドアを開ける。
と、そこにいたのは、温かそうなコートを着ながら玄関の前に立って居たのは、鏡形而だった。


鏡:メリークリスマス。そして、こんばんは♪


不適な笑みを浮かべていた鏡に対してDOLLは、呆然と突っ立った状態のまま硬直していた。
が、即座に我に返る。


『……メリークリスマス。そして、さようなら…』


その言葉を吐きドアを閉めようと思いっきりドアを引っ張ろうとした時、鏡の足が邪魔をしほんの少しの隙間が出来てしまった。


鏡:ちょっと待ってよ。それってお客様に失礼何じゃないのかな、DOLLちゃん?僕、凍え死んじゃいそう。中に入れてもらえると嬉しいんだけどな〜♪

『いやだ。つかっ、メチャクチャ暖かそうだし。』

鏡:じゃ、僕にプレゼント頂戴よ。そしたら、帰ってあげてもいいからさ。

『プ‥プレゼント!?(プレゼントなんて買う時間無かったしな〜。)』

鏡:どうしたの?早くプレゼント頂戴よ。


なんの準備もしていなかったDOLLは、苦い食べ物を口に入れたような顔していた。

 
『プレゼントって言われても、何も買ってないし‥てか、買う暇がなかったから何にも買ってないぜ。』

鏡:‥時間も買う事もしなくていいんだよ。だだ…


DOLLが気が緩んでいた瞬間にドアを開け直し、軽い口付けをした。
DOLLにとっては、初めてのキスだった。


『テ…テメー!!//何しやがる!?俺のファーストキスを返せー!!』

鏡:クス…ココア味のキス、ありがとう♪

『そんなのプレゼントでも何でも無いだろうが!!しかも、俺からじゃなくってお前からのプレゼントじゃないか!』

鏡:ん〜‥別にいいじゃないかどっちでも。プレゼントは、プレゼントだよ♪それじゃ、明日も頑張ろうねDOLL。それじゃ、おやすみ。


歩きながら手を振りDOLLの前から消えて行った。
白い雪の中へと…
鏡が去った後、DOLLの足元に二匹の動物達が寄り添って来た。
玄関で座り込んでいたDOLLの気持ちは、何が何だか頭の中が混乱状態だった。
次の日、鏡と目を合わせる事が出来ずにいたと言う。



ENDー……

2006.12.26
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