真っ赤な一輪の薔薇を求め
やっと、出会う事が出来ました
沢山の人の中からたった一人
見つけ出すことがこんなにも大変で‥出会うとこんなにも胸が高鳴るなんとは…
貴女に出会えて本当に良かった


『あっ、こんにちは。』


私が来るといつも笑顔で私に挨拶をして下さる。
貴女が話す言葉一つ一つが私の中の辞書に刻まれていく。


赤:こんにちは。

『今日も花を買いに来たんですか?』

赤:はい。赤い薔薇を一本‥頂きますか?


人差し指を立て真っ赤な薔薇を注文すると"ニコッ"と、DOLLが笑い硝子ケースの中に入っている薔薇を一本取り出して「少しお待ち下さいね。」と、一言告げカウンターの上でラッピングを始めた。
ラッピングが終わるまで店の中にある花を眺めていると「お待たせしました。」と、ラッピングした薔薇を手渡された。


赤:ありがとうございます。では、また…

『ありがとうございました♪』


数時間後、バイトが終わり自宅に帰って、夕ご飯を食べお風呂に入り寝る準備をしていると、"フッ"と赤屍の顔を思い出し「あの人って‥彼女っているのかな?」と、頭の中で思ったことを口にし、ベットに寝そべった。

 
『明日も来てくれるかな?‥そう言えば、名前とか聞いた事無かった!……明日着たら聞いてみようかなぁ。』


寝そべっていると、段々と瞼が重くなり静かに瞼を閉じた。
翌日、何の狂いもなくいつものように赤屍が「赤い薔薇を一本頂けますか?」と、いつもの笑顔で薔薇を買いにやって来た。


『‥はい。…あの〜?』

赤:はい?

『そのっ‥あの〜‥お名前、何て言うんですか?』


いつものように硝子ケースから薔薇を取り出し、眉を潜め改めて聞くのも悪いと顔を書いてあるのが目に見えた赤屍は、"クスッ"と、笑い「赤屍蔵人と申します。」と、片手を胸の方に引き寄せ軽く会釈をする。


『赤屍、さん。‥今、ラッピングしてきますね♪』


一本の薔薇を持ち店のカウンターでラッピングをしに行こうとした時「いえ、そのままで結構です。」と、引き止められる。
"クルッ"と、回り自分の方を向いたDOLLの手から薔薇を取り上げ、一本のメスで棘と茎を切り落とし「貴女に良く似合う。」と、DOLLの頭に飾られる。


赤:毎日ここで花を売る貴女の姿‥私は、貴女に一目で恋に落ちました。

『えっ‥えぇ〜!!いきなりそんな‥やっと赤屍さんの名前を知ったばかりなのに…』


"あたふた"と、いきなりの告白に戸惑う。


赤:DOLLさん、私の妻になっていただけますか?


いきなりの婚約の申し込みに、目を点させ一時停止していると徐々に顔を赤くさせ「ん〜‥はい//」と、仄かに顔を赤く染め"ニコッ"と、笑い申し込みを受けた。


赤:では、私の家に行きましょうか?

『えっ?!ちょっと降ろして下さい!!』


赤屍が一歩、DOLLに歩み寄り腰を少し屈(かが)め"フワッ"と、DOLLを持ち上げた。(もちろん、お姫様抱っこです。)
顔を真っ赤にさせ赤屍の腕の中で暴れていると「店長さん、DOLLさんを頂いています。」と、店の奥から花屋の店長が現れた。
DOLLの騒ぎ声に駆け付けた店長、助けてくれるのかと思えば「どうぞ。行ってらっしゃい〜。」と、頬を仄かに染めDOLL達を送り出す。


『えっ、店長何、言って‥』

赤:では♪

『えっ、えぇぇぇ!!』


店長の承諾を得た赤屍は、いつも通りの歩調で歩き出した。
街行く人達の声が擦れ違うたびに「ドラマの撮影か?」とか「ねぇ、あの人達と同じ事やって。」とか色んな声が聞こえてくる中、赤屍は、爽やかに楽しんでいた。
もう一方は、顔を真っ赤にさせ赤屍の胸板に顔を押し当て疼(うず)くまっていた。


赤屍宅―……

赤:着きましたよ。

『〜//‥恥ずかしかった。』

 
お姫様抱っこから開放されると頬の以上な熱に冷たい手を押し宛冷やしていると、赤屍が手を差し伸べられその手を仕方がなく取り家の中へと入っていった。
そして、リビングに案内されドアを開けてもらうと…


『‥うわぁ〜。』

赤:貴女から頂いた薔薇達です。


部屋中に真っ赤な薔薇で飾られていた。


『えっ‥全部?でも、赤屍さんに出会ったのって…1〜2ヶ月前ですよね?こんなにきれいに全部、咲いていられるなんて‥』

赤:確かに有り得ない事です。ですが、現に私達の目に前にあるのは‥


DOLLの肩に手を添えようとした時、いきなりDOLLが赤屍の方を向いて「ありがとうございます!!」と、心の底から笑い「この子達を大切にしてくれて、本当にありがとうございます♪」と、赤屍の手をとり握り締める。


赤:DOLLさん。

『何ですか?』


手を離し、コートの中から小さな小箱を取り出して「結婚指輪です。改めて私の妻になっていただけますか?」と、片足を折り小箱の蓋を開け中身を見せる。
そこには、白く小さな輝きを放つダイヤが一つだけ、埋め込まれていた。
赤屍の熱い想いを知ったDOLLは、"クスッ"と、微笑み。


『はい!vV』


真っ赤な薔薇に囲まれ貴女への愛を捧ぐ
どんなに少ない言葉を今掛けても…
これから沢山‥貴女の傍で愛を囁いてあげます
貴女の耳元で…


END―……


2009.7.2
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