夏の暑さで

夏休みの内の1日、車通りの多い坂道を『暑い暑い』と呟きながら歩いて行く

余りの暑さに自然と下を向いていた顔を上げてみると小さいながらも目的地の学校が見えた、

今日は登校日・・・
と言っても只の補修

馬鹿には夏休みなんて無いんですよ皆さん

『あぁー貴重な1日をっ!』とか言ってみるけど実際無くても家でゴロゴロするくらいだから何ら変わりは無いのだ


角を曲がり少し車の通りも坂も楽に成った頃背後から微かに聞こえる自転車のカシャカシャという音を聞き無意識に端に寄る

すると後ろから「おーい左藤ー」と女子の声よりワントーン低い声が自分と同じ名字を呼ぶ、・・・あれ?と思い振り返って見ると同じクラスの田村が笑顔で近付いて来るのが見えた


あたしはふと、犬みたいだなと思い鼻でフッと笑うと田村は?マークを出して不思議そうに見ていた

ようやく追い付いた田村は勢いの無くなった自転車から降りて、あたしの隣を歩く


「何で笑ってるん?」

と、さっきの事が気になるのか聞いて来たから冗談で

『あんたが可愛いからつい』

って言ってみたら、何故か顔を真っ赤にしていた

田村は直ぐに否定したが男子の中でも背は小さい方だし童顔だから間違っては無いと思う

クラスの女子達がいつもキャッキャッ言ってたから此れはほぼ確定事項なのだ

「そう言えば左藤は、何で学校?部活とか?」

不服そうな顔をしていた田村はふと思い出したように聞いてきた

『部活?違う違う、あたしはあぁゆうの苦手だからさ。今日はただの補修〜』

余りにも明るく言ったのでなんか嬉しそう、とか何とか言うので予想は付くけど一応『あんたは?』と聞いてみる

すると「部活しかねーだろ」と自転車のかごに入っていたスポーツバックを顎で示された

内心やっぱりと思いながら『お疲れ様っス』とふざけて言うと「ホントだよまったく」と田村はわざとらしく眉尻を下げ首を振た

ようやく校門が見え田村との別れが近付いて来る、久し振りに人と話したから何か気分がいいそれが顔に出てたのか田村がじっと見てきた

今度はあたしが?マークを出していると遠くの方で同じ部活の子だと思わしき人が田村ーと呼んできた

はっとし「今行くー」と自転車を止めながら適当に返した田村を横目に『んじゃあたしはこれで』と言い残し学校に行こうとしたら不意に「左藤。」と呼んで来た

何かなと思って振り返ったら「メアド交換しね?」と言わた、そう言えば隣なのにしてないなぁと思い出しゴソゴソと鞄の中から携帯を取り出した


交換している最中は無言で少し気まずかった、だから心の中で早く早くと念じながら携帯画面を凝視する

田村が有り難と余りにも綺麗な笑顔で言って来たから此方こそって吊られて笑顔で返してしまった


っ、と息を飲む声が聞こえたから見て見ると顔を反らされたあたしは面白いと思って調子に乗って顔を近付けてみた

何故かみるみる顔が赤くなる田村がなんだかホントうに可愛く思えた

耐えられ無くなかったのか「俺行くから」と絞り出すように言うからあぁ、と自分の顔の近さに気付くフリをして直ぐに離れといた

そんで田村はまだ赤い顔で「勉強頑張れよ」と言って走って行った

『田村も部活頑張ってねー』と急いで言うと、田村がぴっと止まり突然「お前のが可愛からなー//」と言い残し今度こそ消えてった


ばつがわるそうにそっと微笑みながらもくるっと回れ右をし鼻


歌を歌いながらあたしは昇降口を目指した

きっとこの顔の火照りは夏の暑さからであろう



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