◆エイプリルフールですね…
2015/04/01 12:27

嘘を吐く相手もいないので文を書いていました←

短編置き場に置くのも(時間軸が)かなりズレているのでコチラに。
ヨヒラとセキラでエイプリルフールネタ。
時間軸は今より5年後くらい。
前提として、カヤとヨヒラは付き合っている。
つまり、セキラは5年近くヨヒラに片想いしていたわけだ。
これらを踏まえてどうぞ!
けっこう切なく出来上がってしまった。

***

「ねぇ、セキラ?」
と声がすれば、そこには僕の愛しい人―ヨヒラ。
「好きよ!」
ニッコリ笑いながら告げられた言葉に僕は自然と頬が緩む。
「僕もだよ」
仲間として、と彼女と同じ意味の“好き”を同じように返す。
だが、
「あのね…今日はエイプリルフールなの。だから、嘘!」
彼女の口から出た言葉にピシリと思考が固まった。
今日がエイプリルフールなのは知っている。
でもヨヒラは嘘を吐けない子だ。
じゃあ、今の言葉は…?と混乱し始めた僕を、イタズラ成功!と言わんばかりの顔でヨヒラが見つめてきた。
「『好き』じゃなくて『大好き』よ!」
「!!」
花が咲いたようなその大きな笑顔に。
僕は思わず抱き締めようと手を―
「…っ!!」
ハッと我に返り、欲求を全力をもって理性で押さえ付けた。
…もう昔とは違うんだ。
今、手を出したら歯止めが効かない。
僕はヨヒラに背を向けた。
「え?!セキラ?!」
何も反応せずに去った僕にヨヒラは慌てた。
パタパタと追い掛けてくる。
僕は急に立ち止まると彼女の背後に回り、右手でヨヒラの目を覆い隠した。
左手を銃の形にし、トン、と背中にあてる。
「全く…そういうイケナイことをした人にはお仕置きをしなきゃね」
僕の低い声をそっと耳に送る。
僕を本気で怒らせたと思ったらしい。
彼女の身体が硬直してくるのが分かる。
僕は顔を少しずらし―
「…!!」
チュ、とキスを彼女の柔らかい頬に落としてヨヒラを解放した。
「セキ…」
振り返ったヨヒラが僕の名を呼ぶが、それは途中で切れる。
それも当然だ。
そこにはもう僕の姿が無かったからだ。
「ズルいわよ…」
ズルいのはどっちだ、と僕はズキズキと痛む胸を押さえながら物陰から足早に立ち去った。
今日はエイプリルフール。
「大好き」ではなく「嫌い」と言ってくれた方がどれだけ救われたか。
頬に生暖かい何かが伝った。

***

お粗末様でした!


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