LOOP 024
「さあ……始めようじゃないか。人間とグノーシアの存在を賭けた戦いを。」
ジョナスの言葉を皮切りに、話し合いが始まった。
「留守番、いる?いるなら名乗り出て。」
ジナが留守番は名乗り出るよう促した。
「僕が……グノーシアに汚染されるわけがないんです。船から、一歩も外に出てませんから……。」
「わたしもレムナンと一緒にずっと船内で過ごしていたわ。グノーシア汚染されていないはず。」
留守番として名乗り出たのは、レムナンとナマエだ。
「では、こうしましょう。レムナンとナマエ以外の全員がコールドスリープするのです。」
夕里子は、ナマエを見てくすりと笑うと、淡々と言い放った。
ナマエは夕里子の笑みにドキリとしたように視線を外して黙っている。
「キュ!いいと思うの。おふたりは絶対にグノーシアさんじゃないので、他のみんながコールドスリープしたらもう大丈夫なのです。」
オトメが夕里子の意見に賛同した。
「なるほど……留守番以外全員コールドスリープか。試す価値はあるかもしれないな。ナマエとレムナンはそれでいいの?」
セツも賛同し、留守番組のナマエとレムナンに尋ねた。
「ええ……僕は構いません。後の、ことは……やって、おきますから。」
「大丈夫。」
「次の寄港地まで、船を維持するだけだしね。レムナンやナマエが無能でも、Leviが何とかしてくれるンじゃない?」
全員でコールドスリープ室に向かい、各々自分でポットの中に入っていく。
「――こんな展開もあり得るんだね。これまでで一番穏やかな解決かもしれない。わたしたちはたぶんここでループするだろうけど。たまにはいいね。互いを疑うことのない、休息のような回があっても。それじゃ、今回はゆっくり休もう。また次のループでね。」
――レムナン、ナマエ以外の全員がコールドスリープしました。
「……みんな、眠ったようです。」
「そっか。」
レムナンとナマエはコールドスリープ室を出ると、ひとまず上の階へ歩き出した。
「……。」
「……。」
「……。」
「レムナン、これからどうする?」
「えっ……僕、ですか?その……、」
「次の寄港地に着いたらどうするの?」
「僕は、その……とにかく、次に乗れそうな宇宙船を見つけて……、」
「うん。」
「どこか、遠くに……行きたいです。――あの人の、手の届かないところに……。」
「……。」
レムナンの声は尻すぼみに小さくなっていったが、ナマエの耳には届いていた。
「あ、えっと……ナマエさんは……、」
「んー……、」
「……。」
「まさかグノーシア騒動でこんなにあっさり生き残れると思ってなかったのよね……。」
「……。」
「どうしようかな……。」
「……。」
「ひとまず、ワインでも開けようか。」
「えっ……?」
「食堂に行こう。レムナンも飲もう。」
「いや、僕……お酒は……、」
ナマエがレムナンの腕を取ると、ビクリとするものの振り払われなかったのでそのまま食堂に連れていくことにした。
「じゃあレムナンはジュースで。とりあえず乾杯しよ。」
ナマエはいたずらっぽく笑うと、無事生き延びた今日という日に祝杯をあげた。