助演男優賞 | ナノ 07


 キバとナルトが水泳対決したり、浮き輪で浮かんでのんびりしていると、あっという間にお腹が空く時間になった。海の家がとんでもなく混んでいたので、手分けして出店で軽食を買おうということになった。

「ナマエは?」

 シカマルはナマエから目を離さないようにしていたのに、ほんの少し目を離した隙にいなくなっていた。

「タマキもいないから、トイレか自販機じゃない?」

 サクラがパーカー型のラッシュガードを着ながらキョロキョロした。シカマルもトイレならついて行けないし仕方ないかと思った。ただ、少し嫌な予感がする。

 ――やっぱり。

 ナマエとタマキは2人組の男と話していた。髪が重ための男たちはあっちと親指でどこかを指しながらべらべらとしゃべりかけているようだ。

「ナマエ!タマキ!」

 ナマエとタマキはシカマルに気が付くと、わざとらしく2人ともシカマルー!と言った。男2人に品定めされるように見られる。

「ね?彼氏と来てるって言ったじゃん。」

 タマキが言うと、男は「じゃあお姉さん彼氏は?」とナマエに聞いた。

「わたしの彼氏だから。この子の彼氏はあっちにいるよ。じゃね。」

 ナマエがシカマルの隣に立って、キバがいるであろう出店の方を指しながら言った。シカマルはこの瞬間だけナマエの彼氏のようだ。悪くない。タマキもキョトンとして、その後ナマエを見てふふと笑った。

「お前ら、女だけであんまりフラフラすんなよ。」

「まぁ海へ来たら絶対にナンパには遭うから仕方ないよ。シカマル、探しに来てくれてありがと。」

 絶対と言い切るナマエに、タマキも頷いていた。どうやら当たり前らしい。シカマルもタチの悪いナンパじゃなく良かったと思った。





 帰りの車も結局シカマルが運転した。ナマエはその隣の助手席に座り、後ろでいのとサイがぐっすり眠っている。

「お前も眠かったら寝てていいけど。」

「大丈夫。ちょっと疲れたけど眠くはないから。」

 ナマエは小さめの音でゆったりとした夏の曲をかけた。

「どうだった?」

 ナマエがシカマルへ唐突に聞いた。

「どうって?」

「海とか今日1日とか。」

「楽しかったよ、疲れたけどな。」

「誰のおかげ?」

 ――ナルトやいのたちみんな?いや違う。

「……ナマエ?」

「素直。」

 ナマエがふふと笑った。夕日が眩しいのかこげ茶色のサングラスをかけている。

「完全に海水浴だったけどな。騙された。」

「ちょっと夕方寒かったからね。夜の海も見たかったけど。」

 ナマエがご機嫌で音楽に合わせて口ずさんだ。

「これ誰の曲?」

「いいでしょ?」

「誰の曲かって聞いてんだけど。」

「夏絶対ライブやるんだよね、行こうよ。気に入ったでしょ?」

「まぁ。」

 また1つナマエとの約束ができて、シカマルは平静を装いながらも内心喜んだ。



「ここまで送ってくれてありがと。気を付けて帰ってね。」

「おう。」

「ナマエも気を付けるのよ。」

「すぐそこだから。」

 家の立地的にサイから降ろし、その次はナマエで、シカマルの近所に住むいのが最後だった。ナマエはにこにこと2人に手を振って車を見送った。
 
 いのとシカマルが2人になると、いのは途端にニヤニヤしだした。なんとなくいのが言ってきそうなことはわかっている。

「シカマルゥ、ずいぶんナマエと仲良くなってんじゃない。」

「うぜー。」

「あんた、わたしを誤魔化せると思わない方がいいわよ。」

「……わかってるよ。」

 いのには初恋から今にいたるまでシカマルの全好きな人を知られているし、恋している自分の姿も見られてきた。ナマエのことが好きなのはお見通しだろうと思っていた。

「シカマル、あんたって本当に面食いよね。誰だっけ、高校時代の彼女。あの人もキレイな人だったしさーあ。」

「まあ……、」

 シカマルに自覚はなかったが、たしかに自分は面食いなのかもしれないと思った。お前もだろといのに言いかけてやめた。

「で、なんだかんだゲットするのがあんたのすごいところよ。ナマエとも結構いい感じなんじゃなーい?」

 シカマルはナマエがいのに自分との話をしているのか気になったが、聞いてしまって良いものだろうかと少し悩んだ。

「わたしはナマエとシカマル、結構いいと思ってるのよねー。ナマエって見る目ないし惚れっぽいけど、本気で好きになるとかなり一途だと思うし。」

「ふーん。」

 そういえばあまり聞きたくなくてナマエの過去の恋愛の話は聞いてこなかったなと思った。見る目ないしの中にはいのの恋人のサイも含まれてしまうが、シカマルはもちろん余計なことを言うのはやめておいた。

「あんたももう彼女いない歴2年?でしょ?ぼやぼやしてるとあっという間に卒業よ!」

「だな。」

「ナマエに半年以上彼氏いないなんて奇跡なんだから!」

 頑張んのよシカマルー!と拳を突き上げていのはシカマルが車を出すのを見送った。いのの家から自分の家までは近くすぐ着いてしまうが、ナマエが口ずさんでいた曲をかけて車を走らせた。

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