スタンド・バイ・ミー | ナノ 07


「「あ。」」

 木ノ葉丸とボルトが任務帰りに歩いていると、ナマエと出くわした。ナマエは糸や布などを大量に持っていた。

「ナマエ!持つぞコレ!ボルト、お前帰っていいぞ。」

「えー!話と違う!」

 ナマエは、木ノ葉丸のご厚意に甘えて、店まで運ぶのを手伝ってもらうことにした。ボルトは何かを察したようで、面白そうだからと運ぶのを手伝った。

「へー!姉ちゃん服屋なの?」

「そうよ。ボルトくんが中忍になったら一着プレゼントしてあげる。」

「まじ?やりー!」

 ナマエとボルトは道中、たくさん話をした。木ノ葉丸は、ボルトとナマエが仲良さそうに話すのを見て最初は悔しがっていたが、だんだんと微笑ましく見守るようになった。ボルトは、七代目火影の息子として接してこないナマエに好感を持った。

「ボルト、あんまりなめた口聞くなよ。ナマエはこう見えても特別上忍で、お前の超先輩だからな。」
 
「特別上忍!?」

「そうよ、意外でしょ。」

「意外すぎるってばさ!なんか、弱そうなのに……。」

「失礼だぞコレ!」

 ナマエと木ノ葉丸とボルトは店に到着すると、荷物を置いた。

「ふーっ。ありがとうございます。助かっちゃった。」

 お茶持ってくるねとナマエは奥へ引っ込んでいった。

「俺わかっちゃったってばさ。木ノ葉丸の兄ちゃんがデートしてた相手!」

 ナマエが見えなくなると、ボルトがニヤリと木ノ葉丸を見上げた。

「う、うるさいぞコレ。ボルト、この後待ち合わせしてるって言ってなかったか?」

 言外に、はやくどっか行けと木ノ葉丸が言うと、それを無視したボルトは店先に出てキョロキョロした。

「おー!シカダイ!いのじん!やっぱりそろそろここ通ると思ったんだ!」

 ボルトは通りにシカダイといのじんを見つけると手を挙げた。シカダイといのじんは、ボルトに気付くと一度目を合わせてから、のんびりやってきた。

「ボルト、お前こんなところで何やってんだよ。カードショップに行くんだろ。」

「そうなんだけどさー。木ノ葉丸の兄ちゃんに捕まっちゃって。」

「勝手についてきただけだろ!」

 ナマエが2階の自宅からお茶とジュースを持ってきて降りると、怒る木ノ葉丸に、笑うボルト、さらには少年が2人増えている。

「「「あ。」」」

 声を揃えたのは、ナマエとシカダイといのじんだった。

「木ノ葉丸先生と一楽にいた女じゃん。」

 シカダイとナマエが、また会った……と思っていると、一番最初に声を出したのはいのじんだった。失礼な言い草だった。

「みょうじナマエよ。木ノ葉丸さんと一楽にいた女の。」

「ふーん、よろしくねナマエ。俺は山中いのじん。」

 ナマエは、山中家の子なのか、そりゃシカマルの息子らしき少年と一緒にいるわけだと思った。木ノ葉丸は、いのじんの無礼な言葉遣いに噴火寸前だった。

「……奈良シカダイっす。」

 先日墓地で会った少年は、奈良シカダイと名乗った。改めて、彼の顔に好きな人の面影を見て切なくなった。じっとシカダイの顔を見つめるナマエに、内心シカダイはなんだろうと思っていた。

 その時、伝達用の鳥が店に現れ、木ノ葉丸への召集がかかった。木ノ葉丸は悔しそうに店を出ていった。ナマエは追加のお茶を持ってくると、いのじんとシカダイにも渡した。

「2人もボルトくんと同期ってことは、下忍よね?じゃあお客様だわ。」

 ナマエはにっこり笑うと、3人を店に入れた。

「へー。忍服や普段着も売ってるんだ。あ、ここの服母さん着てたかも。」

「ああ、お母さんっていのさん?たまに来てくれるわ。」

「全然繁盛してなさそうだけど大丈夫なの?向こうに木ノ葉デパートもあるしさ。」

「ご心配なく。いのじんのお給金じゃ買えないくらい良いお値段だからっ。」

 生意気ないのじんにナマエはいたずらっぽくべっと舌を出して笑った。

「……くくっガキかよ。」

「ぶはっナマエ、いのじんの失礼ボケにつられてやんの。」

 大人っぽい美人な店長がそんな言い方をすると思わず、シカダイとボルトは笑ってしまった。

「いのじん、ずっと失礼なんだもん!ナマエじゃなくてナマエさんって呼びなさい。」

「ナマエ、見た目は大人のくせに俺たちと精神年齢変わらないじゃん。何歳?」

「20歳よ。7つも年上なんだから。」

 シカダイは内心、ナマエは見た目どおりの年齢だったが、思ったよりも子どもっぽいと思った。店をやりながら忍をしているしっかり者にしては、だが。シカダイの視線に気付いたナマエは、シカダイの目をじっと見つめた。

「シカダイくん、お父様は相変わらず忙しいの?」

「え?……あーそうっすね。帰ってきたり帰ってこなかったり。」

 そっか、とナマエは少し悲しそうに微笑んだ。その隙にいのじんとボルトは店内をぐるりと一周していた。ナマエはシカダイにまだ何か言いたそうだったが、ふいと目をそらした。

「ボルトくん、これとか似合うんじゃない?」

 ナマエはボルトに明るい色のパーカーを当てた。ボルトの柔らかい色の金髪に合っていた。

「かっけーじゃん!」

「いのじんは……こういうのかな?」

「えー僕こういうのあんまり着ないけど……。」

「そう?でも似合ってるよ。たぶんモテちゃうね。」

 ナマエはにっこり笑うと、いのじんは少し照れたように、いつもの減らず口がなくなった。ナマエはそれを見て可愛いなと思った。

「シカダイくんは……こういう感じ?」

 ナマエがシカダイに当てた服は落ち着いたクリーム色の上着だった。

「なんか……シカマルおじちゃんみたいだな。」

「僕も思った。おじさんくさいよ。」

「えっ!?そう……?」

「……。」

 ナマエは慌てて服を戻すとへらっと笑った。ついシカマルの顔に似ているからとシカダイにシカマルを意識した服を提案してしまったと反省した。

「やべー!カードショップしまっちゃうってばさ!」

「ほんとだ!」

 ボルトたちがじゃーな!と走っていくのを見て、ナマエは手を振って見送った。シカダイがちらりと振り返ったのでドキッとしたが、にっこり笑っておいた。

「ナマエ姉ちゃん、いい人だよな。子ども扱いも、火影の息子扱いもしねーしよ。」

 カードショップへ走る間、ボルトがニッと笑った。ボルトがナマエをすぐ気に入って2人に紹介しようと思ったのは、これが理由だった。

「子ども扱いっていうか、ナマエも大概子どもだしね。」

「まー面白い人ではあるよな。」

 いのじんとシカダイも、ナマエのことは気に入ったようだった。ただ、シカダイには気になっていることがあった。ボルトに火影の息子扱いをしないわりに、自分のことはシカマルの息子扱いだったことだ。シカダイは少し胸がモヤモヤするのを感じた。

「うわー!また親父のカードだよ!出現率どうなってんだ!」

「ボルトは相変わらずか。あれ?シカダイの持ってるそれって……。」

「……新カード。みょうじナマエ(特別上忍)(N)。タイムリーすぎんだろ……。」

「君のそのカード、先週実装されたんだけど、コアなファンが多くてね。今うちで売ったら未開封30パック買えるよ。」

「「「まじ!?」」」

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