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「#総受け」のBL小説を読む
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【 送信完了 】


締め切られた部屋の中で呼吸を荒げる。今にも吐きそうでたまらない。足元に倒れるそれがタンパク質の塊になったのか、まだ人間であるのか、わからない。わからないのに立ち去るなと教えられた。死亡を確かめて、そこから離れろと、当たり前のことを口を酸っぱくして教えられていた。
しゃがんで男の首に手を伸ばす。人差し指と中指で脈を測ってみるとまだ動いていた。体温もある。目を閉じて呼吸を整えようと努力した。大丈夫、うまくやれる、最後まで。それでも浅い呼吸が落ち着くことはなかった。


電話を終えて、家まで帰る道中の記憶は曖昧だった。夜の街の喧騒や車の光、電車の音全てが現実味を帯びていない。どこか違う国に迷い込んだような気分だ。

仮の自宅でシャワーを浴びていると、シャワーカーテンの向こうに影が見えた。蓋を閉めたトイレに座っている男がいることに気づき、いつからそこにいたんだろうかとゾッとする。
声を聞こうと思いお湯を止めると、男の指がカーテンの端から現れて、ゆっくり開けた。カーテンの金具がぶつかる音がバスルームに響く。

そこに立つホルマジオは満足そうに微笑んでわたしを見下ろしていた。よくできたなぁと彼の手が乱暴に頭や顔を撫でる時の熱と、冷たく冷え切った自分の皮膚。
緊張して、心が固まって動かなくなっていく気がする。

無遠慮にバスタブに侵入してきた彼にされるがまま壁に追い詰められた。背中にひやりと壁のタイルが触れる。ちっとも温まらないわたしの皮膚みたいだ。
支配的に顎を掴んだ彼と深く唇を交えた。この男といるとこんなにも気が休まらないのに、自分は心のどこかでいつもこの時を待ち望んでいる。

わたしのスタンドは限定的な能力だから、標的を条件が揃った場所へ誘い込まないと力を発揮できない。だから似たところのある能力を持つこの人がたっぷりと教え込んでくれる。彼はプロシュートが部下にするように怒ったりしない。いつも良くできたなと頭を撫でる。だからわたしは失敗ができない、この人の期待を裏切った先にあるものを知りたくない。


大切にするみたいにタオルに包んだわたしの身体を、ホルマジオは乱暴にベッドに突き落とす。

猫可愛がりのご褒美をくれるらしい。期待と恐ろしさに満ちた中、ベッドに影を落とす彼を見上げた。

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