君とお友達シリーズ | ナノ


うっうっうっと短い嗚咽を漏らしながら顔中から液体を撒き散らす石丸の背中をさする。本当にこいつの泣き虫は治りそうもない…。

「落ち着いた?」
「うう、すまない」
「別にいいよ」

今に始まったことじゃないし、という本音は喉で噛み殺す。
いつも清く正しく、断固として穢れを許さない石丸は、案外打たれ弱いところがある。今日も罪木先輩で遊んでた西園寺先輩を注意して、自分の正義を押し付けがましい独りよがりだとボロクソにこき下ろされてショックを受けていた。

「石丸の正義感は美徳だと思うよ…。でも友情には色々な形があるから。罪木先輩と西園寺先輩は、ああいった形の友人なんだと思う」
「僕は…、僕には理解できない。僕は少なくとも、君をああいった扱いなんてしたくない」

また涙をこぼしながら石丸はつぶやく。
真っ直ぐなこいつのことを、守ってやりたいと思う。その思いは誰かに昼食に誘われるなんて初めてだとはにかまれた時から変わらない。上手に生きるには、石丸には柔軟さが欠けている。そこがいいところでもあるんだけど、長所と認めてくれる人が、一体どれくらいいるのか。
だから、石丸のいいところを無くさないように、彼が泣く度にこうしてわたしが慰めてあげられたらいいなと思う。おこがましいかもしれないけど、そういう人間が必要なのだ。わたしみたいに、石丸の純粋さに憧れる人は、きっと必ずいるのだから、そういう人が他に現れるまででも構わない。それまでは石丸の一番の友達でいたい。

「いつも君には迷惑をかけているな…。君から学ぶことには新しい発見が多い。君が僕に呆れずに一緒にいてくれること、どれほど感謝してもしきれないな」

それはこちらのセリフだよ、石丸。


20130929



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テーマ「人外ファンタジー」
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