たわむれを | ナノ



希望ヶ峰学園内には立派な音楽室があるけれど、もちろんそこで歌うわけにもいかず、終業式が終わったあと、わたしたちは学園から少し離れたところにある大手カラオケのチェーン店に移動した。
メンバーは江ノ島ちゃんの宣言通りクラスの大半が集まり、意外なことにカラオケに敵意を抱いていそうな石丸くんも参加していた。たぶん、クラスの親睦を深めるためだとかなんとか、苗木くんがうまく言いくるめたんだろう。案の定、不慣れな様子の石丸くんはそわそわと落ち着かない。十神くんと腐川ちゃんは来なかった。まあそりゃそうか…。

「よーっしじゃあ張り切って! 一番手を苗木に頼もうか!」
「ええっなんでボクなの!? 舞園さんとかの方が…」
「つべこべ言わない!」
「さくらちゃんなに歌う?」
「我はこういった娯楽には造形が浅い故…。朝日奈よ、我に構わず好きに歌うが良い」
「みょうじっち! 俺とデュエルすんべ!」
「しないよ! なんでカラオケに来て!?」

あっはっはと豪快に笑う葉隠くんに辟易する。たぶんデュエットのこと…なんだろうな…。
個性的な人ばかりが集まっているクラスだけど、それぞれが好きなように歌い、室内は中々の盛り上がりを見せていた。舞園ちゃんがテンポのいいアイドルソングを歌い、意外と歌のうまいセレスさんが雰囲気を作り、それを山田くんがノリノリのアニソンでぶち壊す。歌う曲のタイプもてんでバラバラだけど、おかげでハードルがだいぶ下がってわたしも何曲か歌ってみたりした。しかし、こんなに楽しい会になるとは思わなかった!



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