衣服をそろえましょう ひとまず真田用の服を買わなければいけないだろうと思い立ったのが奴が来た翌日、日曜の午前十時。真田は朝八時ぴったりにわたしを揺り起こしてくれた。 いつまでもパツパツのわたしのジャージを着せておくわけにもいかないし、スーツは嫌がるし、正直ロボットならロボットらしくしておけと思わなくもなかったが、どう見ても人間にしか見えないこいつをあまり蔑に扱いたくなくて。 「そういうわけで、今日はお出かけします」 「おお」 真田はにかっと笑うといそいそと靴下(ここに来るときに履いていたやつ・洗濯済み)をはき始めた。ちょっと待て。 「なに、え、真田もついてくるの?」 「もちろん!俺の服買いに行くんだろ?」 「そうだけど…ちょっと自分のかっこ見直して」 真田はちらりと視線を下に向け、明らかに窮屈そうなジャージ姿を確認すると「…駄目か?」と悲しそうにうつむいた。うう。ちょろいと詰られそうだけど、どうにもわたしは真田の困り顔だとか悲しそうな顔だとかに弱いみたいだ。 とは言え、さすがに。 「駄目か〜」 「ちょうど今日は暇だし、服だけ買ったらちゃっちゃと帰ってくるよ」 「わかった。なんか昼飯作って待ってる」 真田は料理もできるらしい。 お礼を言って部屋を出る。真田は名残惜しそうにわたしを見送ってから扉を閉めた。いつもの習慣で鍵をかけようとして、そうか、真田がいるからこのままでいいのかとうなずく。そして歩きだしてから、なんだか今のやりとりは本当の恋人みたいだな、と気づいて一人で赤面した。 …本屋にでも寄り道して帰ろうと思ったけど、やっぱり宣言通りまっすぐ帰ってこよう。午後から二人で出かければいいかな。 |