The Third Day――PartU


「……まぁいいわ。じゃあみんな、気を取り直して組み分けやるわよ」
気を取り直す必要があるのはお前だけっぽいがな。俺はコーヒーを飲みつつ内心で呟く。組み分けは朝比奈さん、長門、古泉ときて次は俺だ。確約があるので、俺は適当に引いた。ドリャッ!

「…いい?隅から隅までしっかり探すのよ?遊んでたら殺すからねっ?!」
そこまで言わんでも分かってる。溜息混じりに俺と長門はハルヒ達三人が歩き去って行くのを見送った。
「…じゃ、俺達も行くか。悪いが今日は図書館には行かないけど、いいか?」
長門の許可が下りるのには少し時間がかかったが、仕方あるまい。さてまずは…あそこだ。


「久しぶりだな、ここも」
市営グラウンドに到着。かつてSOS団が野球大会に飛び入り参加して、挙句優勝候補を下しちまったんだよな。
「思えば、ここでも長門に助けられたよな」
百発百中のホームランバットに、大リーグボールを鼻で笑うような魔球の数々。あの時長門が頑張らなければ、俺達は確実に負けてた上に、今頃世界は終わってた。
「……懐かしい」
長門も思い出に浸ってるらしい。なんだかんだ言って、コイツも楽しんだのだろうか。今なら答えてくれるだろうが、どうも聞く気にはならなかった。
しばらく周辺を無駄話しながらぶらぶらした後、俺達は次の目的地に向かった。


あぁ、ここだここ。
コンピ研の部長氏のマンションだ。ここでは異空間の中で巨大カマドウマと戦ったんだよな。つか、あの事件の黒幕(敢えてこう呼ぶぞ)は長門と喜緑さんだったんだっけ。
「あの後あちこち飛び回ったの、覚えてるか?」
「…もちろん」
部長氏の他に異空間に引き込まれた被害者救出の為に、長門を先頭にあちこち走り回ったんだよな。交通費の関係で財布からみるみる金が無くなるあの瞬間が、正直俺には異空間よりも恐怖だった。
チラリと長門の顔を見る。やはり思い出に浸ってるようだったが、この時は何故か、多少寂しげな顔をしていた。やっぱり、あの時抱いた俺のカンは正しかったのだろうか。

――長門…やはり、お前にもあるのだろうか。一人でいるのは寂しい、と思うことが。

「……おっ、もうこんな時間か」
昼前である。急がないとハルヒにどやされる。
「長門」
俺が声をかけると、長門はそこに俺がいたのを忘れてたかのようにビクッとして俺を見た。
「そろそろ行こうや。後が面倒だし」
無意識的に、手を差し出していた。
「あ、……分かった」
長門は一瞬戸惑って、俺の手を取った。
安心しろ、長門。一人になんかさせるかよ。
側にいるぞ、俺が。

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