The Third Day――PartT


遅れて団活に顔を出し、ハルヒの叱責を受けながらもその日は何とか乗り越えた。
今更だが、俺は長門の異変をハルヒはもちろん、古泉にも朝比奈さんにも伝えていない。理由はないが、長門が真っ先に頼った先は俺であり、事が収まるまで俺が一人で何とかしなきゃならないと、どこかでそう決めてたのかもしれない。それに長門はいつでも一人で抱え込んでいた。ならたまには、その役目を俺が引き受けても別に悪くはないはずだ。
そんな状況で今日は三日目、そして土曜日、すなわちSOS団不思議探険の日である。
十二月二十日。
間違いがなければ、恐らく長門は今日で元に戻る。特に注意することはないが、一応慎重にならないとな。
…さて。
この日、珍しく俺は早く目覚めた。目覚ましが鳴る一時間前だ。できれば毎回こうだといいんだがな。
身支度を終えて一人で朝飯を食ってると、
「あれぇ〜?キョンくんもう起きてる〜」
パジャマ姿の妹が降りてきた。
「あぁ、ちょっと用があってな」
「用ってな〜に?デート?」
俺は一瞬箸を止め、
「…まぁ、そんなとこだな」
すぐに食事を再開した。


いつもの駅前。さすがに集合一時間前には誰もいなかった。今日は俺が財布になるわけにはいかん。何故かって?
実は朝の妹の一言で思いついたことがある。せっかく今日が最終日なんだ、無駄にする理由はどこにもないはずだ。
待つこと二十分。近づいてくる小さな人影が見えた。
「よう」
相変わらずの北高制服の上にダッフルコートという姿で現れた長門は、少し驚いた顔をして、それから俺の挨拶に小さく返事をした。
「…どうして?」
まぁ聞かれて当然だろうな。
「ちょっと頼みがあってな。悪いが今日の午前と午後のくじ引き、二回とも俺とお前がペアになるようにしてくれないか?」
「え……?」
頬を赤らめ、明らかに慌てた様子の長門は正直、異常なほどにかわいかった。朝比奈さんをも凌駕するとは、長門、恐ろしい子…!!
「…で、大丈夫か?」
いつまでも鑑賞してたかったが、そうもいかない。いつハルヒが来るかも分からんしな。
長門は顔を真っ赤にしつつ、それでも「…分かった」と約束してくれた。あとは全員集合するのを待つだけだ。

結局、ハルヒが顔に驚愕の色を浮かべて俺達四人の前に現れたのは、それから更に二十分後のことである。古泉が多少咎めるような目で俺を見たが知ったことか。


- 5 -


[*前] | [次#]




目次へ



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -