No enter(涼・キョン長)


あの世界に別れを告げてから随分経つ。

なんだかんだでこっちの世界にもようやく馴染めた。住めば都とは少し違うが、似たようなもんだ。
それでも未だに思うことはいくつもある。
これでよかったのか。
あの世界はどうなったのか。
もし戻っていたら、今頃俺は何をしてるのか。

けど、どうだっていいんだ。

あの時エンターキーを押さなかったのは、俺自身がそうしたからだ。二つある選択肢の両方は選べない。一方を選んだら、もう一方は諦めるしかない。そして人生は、そんな選択肢の連続だ。
キテレツな毎日が楽しかった。そう思う自分がいるのは事実だ。けどこっちも、思ったほど退屈じゃない。むしろ予想外に忙しいくらいだ。何故かって?
この文芸部室の扉の向こうに、その答えが待ってる。
小柄で内気な、眼鏡をかけた文芸部長。そして笑顔の似合う俺の――。

「よっ。待たせたな、有希」



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後書きに変えて

消失が好きすぎて映画見終ったあと夕食が喉通らなかったのはいい思い出です(爆)


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