顔が沸騰するみたいに熱くて頭がくらくらする。バン君の口から小さく漏れる息遣いがいやに扇情的に思えた。微かに私の唇にバン君の吐息がかかるのを感じて、いかに私たちの距離が近いのか再確認させられる。 バンくんもこんな表情するんだな、なんて思いながらバン君の目を見つめればまた遠慮がちに唇が重ねられた。 いつもアミちゃんやカズ君と無邪気に笑っている彼が、私にキスしてる。 それも、誰も見たことがないであろう恍惚とした表情で、必死に舌を絡めている。きっと誰も想像できないだろうバン君が私の目の前にいるんだ。 「好き」 離れた唇から漏れる不規則な呼吸音に混じり、擦れた声が聞こえた。 頬に触れていたバン君の手が肌を滑るように降りていって、私の首に到達した。 確かめるように、添えられた手の親指が、私の首を数回撫でる。 次いで熱い唇が撫でられたところに押し付けられた。 バン君が、あのバン君が、私に欲情してくれてる!私に触れてる! 無意識にごくり、と喉が鳴った。首筋に舌を這わすバン君はきっとそれに気付いたのだろう。クスクスと笑う声とともに熱い息が首筋に当たってこそばゆい。 ああ、私は今から、誰も見たこともないバン君を見れるんだ。 (なんて幸せなのかしら) |