「カゲはいいよねーいっつもサンプーと一緒で」



「嫉妬は醜い」



「むー、鳥の分際で生意気だぞ」



ぺしぺしとカゲの頭を叩けばお返しとばかりに肉をつままれた。血はでなかったけど、カゲのくちばしが鋭いせいでけっこう痛かった。まったく飼い主に似て無愛想なこと。もうすこし女の子をいたわってほしい。


「なんでそう思う、理由述べろ」



「だってね、カゲは仕事中もずっと一緒でしょ?私は家に居るときくらいしか一緒に入れないし…そもそも私裁判官だよ、なんで仕事に連れて行ってくれないわけ?そんなに私頼りないの?」




「弾丸、女は愚痴がすき。なるほど理解した」




「ちゃんと聞いてよカゲ!カゲがいるのにサンプーに私は必要なの?むしろ邪魔ものじゃない!カゲのほうがサンプーのパートナーって感じだし。」




「私がしてるのって家事くらいじゃない!」必死にカゲに縋り付いて説明したけど、カゲときたら「ふん」と嘲るように笑ってばたばたと私の後ろに飛んでいった。あ、逃げた。あの生意気鳥め、ちゃんと私の話を最後まで聞いてよ。




「まったく、この家で相談できるのカゲしかいないのに」




「いや、わしが居るぞ」




え、ん?なんか後ろから声がした。聞きたくない声がした。「無視するな」うん、サンプー、だね。なんで居るのかな?ぽたぽた髪の毛から雫か垂れてるけど、それを拭いてあげられるほど心に余裕がありません。風呂あがりのサンプーはいつもの無表情。サンプーの肩に乗っているカゲをちらりと見るが、楽しそうにくぁ、と鳴いただけだった。



「悩み話せ、わしが相談のってやる」



「いやいやいや、悩みなんてこれっぽっちもないから!」




「そうか、カゲにパートナーの座とられて嫉妬か」




「うわあああ、それ言ったのカゲでしょ!!」




「お前使者じゃない、パートナー無理」





1+1は?2!というくらい簡単に答えられて軽く、いや、かなり心が傷ついた。トマトを片手で握りつぶすくらいの勢いで色々崩れた。そうだよね、さすらいのサンプーだもんね、私を助手にしたのも昔馴染みってだけだもんね、変な期待してた私のがあれだ、馬鹿だったんだ。
うな垂れる私の頭にちくりと痛みがはしった。




「心配無用、サンプー溺愛」



ひっそり囁かれた声に目線を横にすればカゲがちょうどサンプーの肩へ戻っていくところだった。心配無用?って何が心配無用なんだ。




「顔あげろ」



頭のなかでカゲの言葉を再生していたところ、ぐい、と顔を上げさせられる。く、首が痛いです。




「な、なんでしょうか」




「仕事のパートナー無理、けど他のパートナーならあいてる」




「他のパートナーっていうと…なにかあったけ?」




「人生のパートナー」




「…へ?」




「お前これからわしの人生のパートナー、よかったな悩み解決」





一件落着、せせら笑うみたいにカゲが部屋を飛び回って、サンプーといえば満足そうにちょっとだけ口角を吊り上げていた。落着というには大層な爆弾発言だったような気もする。これってプロポーズということでいいのかな?


















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